(2) オンブズマンは国民のために設立される制度である。
その存在理由は一般の人々を政府から守ることで、重要な任務は「国民の擁護者」である。オンブズマンを表す、この「国民の擁護者」という見事な呼称はスペインが制度を作った時に考え出された。
(3) オンブズマンの主な任務は、国民の良いガバナンスヘの権利を擁護することである。
良いガバナンスとは、国民の基本的人権を尊重・促進し、国内法及び国際法の規範に従って行動する政府のことである。また、汚職と無縁で、イギリス議会のオンブズマンの言葉を借りると「不正義につながる悪い行政」を防止する努力をする政府のことである。
(4) 現代的な形のオンブズマンは、チェック・アンド・バランスという民主制度の一要素である。
この概念は、アメリカの憲法の伝統に由来している。民主主義国は、国民第一でなければならない。民主制度において政府は常にオープンにしておかなければならない。
(5) 法による支配である。
政府というのは法律を作るだけではなく、自らも法律に従うものであるという考え方である。法治国家では、政府は個人の権利を尊重し、守ることになっている。このことは人権の場合が最もはっきりしている。法の支配があるところでは、法律によって決まる。
(6) オンブズマン制度は、民主的・多元的な政治制度を前提としている。
(7) オンブズマンは、自らが監視する政府機関から独立していなければならない。
オンブズマンの独立が意味するのは、オンブズマンは他者から指示を与えられてはならず、法的地位において保護されており、事務局ともども適切に自らの業務を遂行するため、十分な予算を与えられるということである。多くのオンブズマンは自らの職権で調査を始める権限が与えられている。さらに、オンブズマンがより強固に任務遂行ができるように、立法府はオンブズマンに十分な法的権限を持たせるようにしなければならない。
(8) 国民がオンブズマンに容易にアクセスできるということである。
国民がオンブズマン制度に信頼を置くことが不可欠である。そのためには仕事の成果を挙げなければならない。成果が挙がらなければ、国民はオンブズマンに頼る意味がなくなってしまう。おそろしいことである。
2 タイプ別分類
オンブズマンと言う用語はスウェーデン語で、その意味は「権限を与えられた代理人」という。各国の導入したオンブズマン制度は、特徴・呼称・制度・機能によって異なっている。具体的な任務と地位の差は、オンブズマンがどういう背景のもとで業務を遂行しているかによって大きく左右される。
第1に、民主主義の伝統と経験による区別。
第2に、先進国と発展途上国という、経済発展の度合いを基にした分類。
第1と第2の条件を組み合わせて次の4つのタイプを想定された。