VII 特別寄稿
行政苦情救済・オンブズマン 名古屋フォーラム
─公正で信頼される行政をめざして─
中川 修一(秋田経済法科大学法学部教授)

I 名古屋フォーラムの開催趣旨とフォーラムの全般的印象
(社)全国行政相談委員連合協議会、総務庁(各)管区行政監察局主催による「行政苦情救済・オンブズマン 名古屋フォーラム」―副題―「公正で信頼される行政をめざして」―は、1996年大阪フォーラムを最初に、1997年仙台フォーラム、1998年広島フォーラムについで、4回目にあたる。過去3回、そして、今回の副題も―公正で信頼される行政をめざして―とある。この副題は、1994年に東京で国際シンポジウムが開催された折りにも副題としており、その時点からの検討課題と受け取っていた。このように、断続的な副題の在り方に疑問をもっていたところ「広島フォーラム」結果報告書で、近畿大学法学部教授石田榮仁郎氏が、この副題に関して所見を述べておられるのを拝見し、参考になった。
このフォーラムを開催された趣旨はどこにあるのか、色々読ませていただいたところ、(社)全国行政相談委員連合協議会会長鎌田理次郎先生の「あいさつ」の中で知り得ることができた。すなわち、
第1に、全国5,000人の行政相談委員の日頃の様々な活動の実態を、海外のオンブズマンの方々及び本日ご出席の国、地方公共団体の各種相談に携わっておられる方々、並びに学識経験者、民間有識者等の皆様方に知っていただきたいこと。
第2に、皆様方と共に海外のオンブズマンの活動の現状や課題について、オンブズマン自身から直接お伺いすることが、わが国の行政苦情救済制度の今後の在り方を考える上で非常に有益であると考えられること。
この2点を開催の趣旨(理由)とみうけることができた。また、この趣旨は、フォーラムの全体像をも表しておられる。すなわち、
第1は、全国5,000人の行政相談委員の常日頃の活動がいかに大変であるかを、第2部「パネルディスカッション(市民にとって望ましい行政苦情救済制度を考える)」の中でお伺いすることができた。