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政府も、一人一人の方たちに目を配ることによって、政府に対する信頼、信用というものを持ってもらえるようなことが可能になると思います。国として、政府として、国民の方たちの声をしっかりと聞き、目を配るということが必要であり、個人の権利を尊重するということが大事であると思います。その意味で、オンブズマンの仕事というのは、重要であると思います。

それから、もう一つ、先程もお話がありましたように、自分で解決できるような問題までオンブズマンに苦情として持ってくるという方がいらっしゃいます。

そういう方は、政府というのは、個人の生活まですべて責任を持つべきである、というようなことを思っており、何か問題があれば政府を攻めれはいいというように思っている方もいらっしゃるわけですが、実は、その人の不満の中には、十分に説明がされていないことに原因があるのではないか、と思われる場合があります。そのような場合には、私どもオンブズマンが、不満を持っておられる方に対して、政府はこのように適切に対応したということを、きちんと説明するわけです。これは政府がきちんと対応しているので、苦情をお感じになるには及ばないと説明をするわけです。

その場合も、市民の方たちが、オンブズマンをプロの集団であり、非常に専門性の高い、信頼できる組織であるというように見てくださっておりますので、私どもの説明を聞いて、納得してくださるわけです。そういう意味では、私どもオンブズマンは、そういった市民の信頼を得られるまでの立場を確保していると思っております。

森下委員:私たち行政相談委員は、苦情相談については、原則として秘密を守っているわけです。オースティンさんのお話では、調査段階において得た情報を、苦情の発生防止に利用しているということでしたが、この場合、その情報は秘密でございましょうか。

オースティン氏:私ども、もちろん秘密を守るということは、大事なことであると思っております。特に、個人のプライバシーということにつきましては、これを厳守するということになっております。ただ、調査段階におきましては、いろいろな情報がどうしても必要になってくる場合があります。

私どもは、調査した結果を報告書にまとめて、これを公表しております。その公表段階では、公表しなければいけない情報というものがあるわけです。ただ、その場合も、必ずプライバシーは守るということを第一原則としておりますので、名前に関しては匿名にするとか、あるいは名前を出さないというような形で、プライバシーの侵害につながるような、情報の公開は避けるようにしております。報告書を公表する場合には、やはり、どういったケースを、どのような形で公表するかということを検討し、名前を出してはいけない部分につきましては、もちろん秘密にいたします。

最終的には、二つのタイプの報告書を作るわけです。一つは、すべて、名前も入っているけれども、これは公表しない報告書であり、もう一つは、一般の方たちの目にも触れるというものであって、必ずその場合はプライバシーの侵害につながるような名前の公表はしないということで、すべて名前は伏せて作成されます。そういった二つの報告書を作成するということです。

 

 

 

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