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実際、アムステルダムにおいては、人口の約半分が外国生まれの方、というようなことになっておりますし、さらに、地域によっては、その地域の住民の4分の3は外国移民というようなこともあります。

移民の増大ということが、その地域に従来から住んでいる方たちとの軋轢といいますか、そういうものを生んでしまったり、共存できないというようなことがございます。それが小・中学校などの問題にも関連があるのではないかと思います。ただ、安井さんが、先程お話になりましたような、新しい状況につきましては、私の方では、内容について詳しくはありませんので、これ以上のことはちょっとお答えできません。

平山局長:ありがとうございました。

それでは、だいぶ時間も残り少なくなってきたのですが、谷さん、森下さん、何かございますでしようか。

谷委員:先程、お役所では、余分なお荷物は背負いたくないということを言われておりましたけれども、オランダでもそうなのかなというように思いました。

行政相談をやっておりますと、頭から、お役所なんかに何を言ったって駄目なんだろうと、自分の体験ではなくて、一つの常識化した考え方を持っている人と、逆に、こんなことは個人でやるべき問題だろうというようなことも行政がやるべきだという人と、両極があるわけですね。これは、日本の民主主義の成熟度の問題かなというように思いますけれども、そのあたりはオランダではいかがでございましょうか。

オースティン氏:2種類の方たちがいらっしゃるというお話でしたが、これは、オランダも同じことがいえます。

お役所に苦情を持っていっても、どうせ駄目だろうというふうに思われる方たちは、政府に対して懐疑的になっており、あまり信頼を持っておられない方だと思いますが、そういうふうに思ってしまう人がいるということは、民主主義にとっても、それから政府にとっても危険なことだと思います。

長期間にわたってそういうふうな雰囲気ができてしまうということは、危険なことであり、政府に対する信頼というものを国民の方たちに持ってもらうということが、非常に重要であると思います。そして、国民に奉仕するのが政府の役目なのだということを、国民にもっと認識してもらうということが必要だと思います。

そういった意味では、皆様の行政相談のお仕事というのは、そういった人々の間にある疑いの気持を払しょくして、政府に対する信頼を回復させるという非常に重要なお仕事だと思います。

私の経験でも、今までどうせ駄目だろうと思っていた方が、オンブズマンのところにきて、オンブズマンが熱心に話を聞いて解決に持っていく、ということをしたところ、そんなにしてもらえるとは思わなかったと、大変喜ばれる方がたくさんいらっしゃいました。そして、私のような者が苦情を言っても駄目だろうというように、自分に対する価値というものを低く見ていたような方たちが、そうではなく、それぞれ一人一人の価値が重要なんだということが分かり、その方たち一人一人にも、自信を持ってもらえることにつながっていったと思います。

 

 

 

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