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今まで、女の方は、不満があったとしても、それを直接ぶつけるということに非常に抵抗があり、また、どのようにしたら良くなるかということについて、その方法論を知らなかったのです。

行政相談は、大変自分に身近なこと、例えば、行政が親切のつもりで道路を造られたとしても、年を取ってくると、あそこの道路は歩くのにとっても困るんだというような、本当に小さなことでも、私たちは受け付けて、それを直していくということです。造ったのは、元気な人たちですから、なかなかそのことが分からないんですね。こういうような場所に道路を造る時に反映されるような、そんな非常に小さなことでも取り上げております。

オランダでは、そういう本当に身近な問題を聞いてくださる制度というのは、あるのでしょうか。

オースティン氏:今お話しの中で、女性、特にご年配の女性の方は、男性とか若い方たちと比べますと、自分の意見とか、不満があってもなかなか表に出せないということをおっしゃいましたが、これはよくあることだと思います。ただ、どのような方であれ、自分の思っていることを発表するという形で社会に参画するということは、皆さんに平等に与えられている権利といいますか、そういう機会があるということです。

お尋ねの件についてですが、オランダには、「アドバイス・ビューロー」といって、市民のためのアドバイスをする機関が設立されております。ここが法律的な問題とか、政策的な苦情に対応しております。そういう施設といいますか機関が、全国にネットワークのような形で広がっております。この「アドバイス・ビューロー」では、いろいろな問題を持っている方たちに、直接コンタクトを取っていくということをしておりますし、また、自分ではなかなか意見とか、苦情を言えないという方たちがいらっしゃいますが、この機関を通じて意見を言うことができるようになっております。また、ここでは、市民に対する情報の提供も行っております。

私の妻は、私どもの住んでいる地域の「アドバイス・ビューロー」で、ボランティアとして活動しておりますので、どういった問題が出てきているのかということについてよく知っております。例えば、住宅の問題、社会保障の問題、失業の問題、それから家族の問題ですとか離婚の問題というような、いろいろな問題について情報を提供し、お困りの方たちを助けるということです。

この機関の活動は、全く政府とは別個の、政府の外側で行っているものであって、その地域のコミュニティーのための機関といいますか、そういった組織です。

次に、ナショナル・オンブズマンについてですが、オランダのナショナル・オンブズマンができましたのが18年前でございます。オンブズマンの仕事は、政府あるいは行政に対して、いろいろと困っている市民の方をフォローするとか、悪い行政、政府から国民を保護するということです。オランダのナショナル・オンブズマン事務所のスタッフは100人以上おります。

 

 

 

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