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このような行政相談委員活動の結果、近年、総務庁が年間に受け付ける相談事案(苦情、問い合わせ等)約21万〜23万件のうち約70%を行政相談委員が取り扱っており、中部地区においても、年間約2万7千〜2万9千件のうち約65%〜約73%を取り扱い、行政相談制度の中核として実績をあげ、大きな役割を果している。

 

3 行政相談事案の内容

 

行政相談事案の内容は、幅広い行政分野にわたっており、平成10年度に愛知県内の行政相談委員が処理した苦情事案(1,043件)をみると、住民の身近な問題である道路の維持管理の適正化等を求めるものが192件、ごみ処理の適正化等を求めるものが102件、信号機等の交通安全施設の整備を求めるものが90件、高齢者、身体障害者、母子、生活保護者等の福祉行政の改善を求めるもの87件等となっている。

 

4 行政相談委員活動の課題

 

(1) 制度の普及・周知

行政相談委員制度については、行政相談委員として住民の見やすい場所へのポスターの掲示、リーフレットの配布、市町村発行の広報誌の利用等積極的なPRを行ってきているが、地域住民の中には、まだまだ浸透していないとの声も聞かれる。

そこで、PRは、一つの方法や手段だけでなく、いろいろな方法を工夫して繰り返し根気よく実施していくこととしたい。

特に、行政相談委員制度を住民によく理解してもらうためには、自治会長等地域の有力者の十分な理解を得ることが効果的であるので、自治会、婦人会等各種団体の代表者を集めての行政懇談会を開催したり、これらの団体が開催する座談会などに積極的に出席し、直接地域住民にPRすることとしたい。

 

(2) 地域における相談窓口のネットワーク化

現在では、ほとんどの市町村において、市(町村)民相談室が設けられ、年金・保険、税金、教育等地域住民に密接に関係したいろいろな相談を受付けており、また、行政相談委員と同じく各省庁大臣、都道府県知事から委嘱を受けている民生委員、人権擁護委員、消費生活相談員、母子相談員等の各種相談員が、それぞれ相談窓口を設けている。

これらの相談窓口に寄せられた相談の中には、行政相談委員が関与すべき相談も多く含まれているものと思われ、また、実際に、行政相談委員が受けた相談のなかにも他の相談窓口に連絡すべきものも多い。

 

 

 

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