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資料2

 

行政相談委員制度の役割と課題

 

谷 昇(中部行政相談委員連合協議会会長)

 

1 行政相談委員制度の意義

 

総務庁では、昭和30年以降、国民から直接、国の行政についての苦情、要望等の申出を受け、国民と行政機関との間に立って、その解決を促進する行政相談業務を実施している。

しかし、一般国民にとって、苦情、要望等を役所に申出ることは、気軽さや親しみやすさに欠けるとともに、申出窓口である管区行政監察局・行政監察事務所が北海道を除き都府県単位に一箇所しか設置されていなかったため、その当時は不便な状況であった。

これらの点を補うため、昭和36年に、行政相談委員制度が設けられ、総務庁長官から委嘱を受けた民間の有識者がいわばボランティアとして、国の行政等についての苦情、要望等を受け付け、申出人に対する助言や関係行政機関に対する通知等を行い、苦情、要望等の解決に献身的に取り組み、大きな実績をあげている。

また、行政相談委員は、行政相談委員法に基づき、日常の活動を通じて得られた行政運営の改善に関する意見を、直接、総務庁長官に対して述べることができることとなっている。

これは、行政相談委員が、個々の苦情、要望等の処理に当るだけでなく、自らの経験、判断に基づいて行うことができる特色ある制度であり、行政相談委員の行政運営の改善に果たす役割に大いに期待されているものである。

このような行政相談委員制度の内容とその役割については、各方面から高く評価されているところであるが、以下、行政相談委員制度の内容と活動状況について、具体的に報告することとしたい。

 

2 行政相談委員の活動状況

 

行政相談委員は、現在、愛知県内に180人配置されており、中部6県(富山、石川、岐阜、静岡、愛知、三重)においては、中部地区の総人口約1,700万人に対して、605人の行政相談委員が配置されている。

行政相談委員は、原則として自宅で来訪または電話で相談を受け付けるが、活動の主要な場としては、地元市町村の協力を得て、市町村役場、公民館等住民のよく集まる場所を定め、多いところでは週1回、少ないところでも月1回定例的に相談所を開設し、国の行政機関及び政令で定める特殊法人の業務に関する苦情を受け付け、必要な助言を行ったり、関係行政機関にその苦情を通知するほか、適宜、管区局、事務所と連携して、その解決の促進を図っている。また、国民から寄せられる行政に関する意見、行政の制度、仕組み、手続等についての問い合わせなど様々な相談に応じている。

 

 

 

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