市民オンブズマンが出てきたということについては、特に行政監察局という名前で活動てきた、私たちの役所としての組織というものに期待されていたものと、実際に私たちがそういう期待に応える監察のしごとをやってきたのか、という意味でのご疑問から、―固より、市民オンブズマンによって取り扱われている問題は、国の問題ではなく、むしろ自治体レベルの問題であったという面もありますが、市民オンブズマン(特に、オンブズマンという言葉が使われていることがこれを示す。)という形での活動が出てきているのではないかと思います。
このような、民間レベルでの、市民レベルでの活動があるということは、私どもの活動というものに、更に期待があることを示すのだということを踏まえ、行政相談委員の方々のお力を借りながら、活動を進めていく必要があるのだと思います。
次に、行政評価局についてですが、これは、大変大きな意味を持つ変更であったと思います。すでに、西尾市の藤井さんのところの組織が、「行政評価委員会」という名前を使っておられるわけですが、これまたキーワードとしてつなげて申せば、行政の質を変えていくということが行政の評価という言葉に表われていると思います。
私たちが使っている、「行政監察」という言葉が、今度「行政評価・監視」という言葉に、法律上変わることになりました。このことは、例えば、その具体的なやり方としましては、行政苦情を基に、評価・監視活動をやっていくべし、ということも政府で決定しているわけです。そういうわけで、行政相談委員の皆さんが、全国でいろいろ得ておられる情報、あるいは行政上の具体的な問題、問題の発生が予想される事態、こういったことについて、今まで以上に私どものところにご報告いただき、これを私どもが具体的な仕事に反映していくということが重要かと思います。
冒頭にお話がありましたが、現在も行政相談委員法には、総務庁長官に意見を述べることが出来るという規定がございます。今度は総務大臣に意見を述べることが出来るということになるわけですが、こうした規定というものに実際の中身をますます入れていくようにするということが、私ども新しい行政評価局で仕事をする者にとっての一つの責務だろう、というふうに考えています。以上です。
おわりに
司会者(後 房雄 名古屋大学法学部教授)
どうもありがとうございました。
最後に、ひとことだけまとめの発言をさせていただきたいと思います。
行政監察局の行政相談制度、あるいは行政相談委員制度については、非常に高い到達点にあるといえるような実績が積み重ねられてきている、ということについては異論のないところだと思います。それだけに、それがなぜ国民にあまり知られていないのか、あるいは、それが国民にもっと知られるようにするにはどうしたらよいのか、という問題が繰り返し論じられたと思います。