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最後ですが、私どもは地方自治体です。地方自治体は総合行政です。決定的に中央行政と違うところは、中央行政は縦割なのです。どこまでいっても縦割です。ところが地方は総合行政、住民に近い横割なのです。これは何課だ、何課だと言ってはいけない地方の自治体そのものが身近な総合行政なのです。そこが地方の武器でもあり、地方自治体の大事なところです。ここのところを、地方の皆さんも地方自治体の意味をもういっぺん考えていただいて、それを我々も一緒になって大事にしていきたいと思っています。以上です。

(司会)

どうもありがとうございました。

地方からいろいろな提言が出されたわけですが、残りお二方はそれを受けて立っていただくという立場になるわけです。

まず、谷さんにご発言いただく前に一つ質問をご紹介しておきたいと思います。「行政相談委員という名称について、友人、知人に説明する際にどうも自分とは関係ないという感じを与えがちのような気がするのです。そこで、21世紀に向けてネーミングをまず検討し直してみてはどうか。」ということです。

その点も含めて、ご発言いただければと思います。

(谷氏)

「行政相談委員は、どういうことをしていると思うか?」ということを、数人の方に聞きますと、皆同じように「行政と行政とのトラブルや摩擦があるのを調整するのか?」ということをいわれるのです。つまり、「行政と行政との架け橋なのか?」といわれるのです。私は、「国民と行政との橋渡しをするのが役目です。」というのですが、たいていの人は、「行政」という言葉に、非常に距離感を持っておられるように思います。自分たちの生活の中に、行政というものが敬遠されて、入ってきていない。そんなことから、先程のご質問にありました、「行政相談委員」という名称が、一般の方になじみにくいのではないか、ということにつながっているのではないかと思います。

確かに、行政というものが非常に権威的であって、身近なものと感じられないということも事実です。ですから、行政相談委員という名前も、これでよいのか、名前そのものを変えてはどうか、という発想も出てくるのだと思います。選挙のとき、市長選挙でもそうですが、よく「開かれた行政」ということをスローガンとかキャッチフレーズに使われますが、開かれた行政というのは、言葉の上ではそうですが、国民の中にはそれが実体としてなかなか浸透していきません。やはり、開かれた行政というのは、具体的なあるいは実践的な証拠を示していただかないと、なかなか国民の中に入っていかないと思います。

そういう意味からいいますと、私は、この行政相談委員というのは、大いに行政には活用していただく値打ちがあるのではないかと思います。先程、申し上げましたように、中部管内でも約3万件近い行政相談を処理し、解決しています。それにもかかわらず、そのような案件が、あまり外部に発表されていないので、先程、後藤先生などもおっしゃいましたが、一般市民の方々で行政相談のことをご存知ない方が多い、─最初に、私が申し上げたように行政相談委員というのは何をするのだ、ということに関わってくるように気がします。

 

 

 

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