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(司会)

どうもありがとうございました。

実は今触れられた点、次の藤井さんへの質問でも出されていますが、一つの問題について行政機関の縦割行政の中で、どの分野に属するかという判断に困ることがあります。そういう問題について西尾市ではどういうふうに対処されているのかという質問が出されていますので、その点も含めて発言いただければと思います。

(藤井氏)

今、後藤先生がおっしゃったことに全く同感です。

私ども西尾市という小さな行政単位の中における苦情というのは、行政側に非があるとか、対処の仕方が不的確であるとか、というような厳しい指摘ではなく、むしろ役所側の対応が不親切であるとか、説明不足であるとか、私のところではありませんからといって追い返されたとか、そういうことが積もり積もって苦情になってくる、行き場がないからあなたのところに来たというような相談が多いわけです。

私たちが調査してみますと、実は地方の公務員というのは割合まじめに取り組んでいるわけですが、「なんとかなりそうですよ」と答えておいたものが、実際に当たってみると出来ないという時に、出来ない理由を関係者にはっきりとお伝えしていない、ということがあります。このような時に、「おっしゃることはもっともですけど、こういう法律的な規制があって、あるいはこういう理由で、今の段階では要望に添えません。」というように実現出来ない理由、あるいは実現に向けてどのような努力をした、といういうようなことが目に見えるような形で苦情者に伝えられると信頼感が増すと思います。

今、私どもは、市役所の中に相談室を設け、市役所の中で委員会を開いておりますので2つの部署、あるいは3つの部署にわたるような問題については、それぞれの担当課長なり、係長なりに私たちの部屋に来ていただいて、具体的に「当該苦情について、どのように対処しているか、申出人にどう答えたらいいのか」というようなことを話し合います。そうすると、「ここのところが、相手に伝わっていないので、私どもの係がお宅へお訪ねして、こういう事情だということを改めて説明して参ります。」というようなこともかなりあります。そういうことを踏まえて私の方は評価をし、その結果を本人のところへ必ず文章でお伝えをしております。大体私たちが4年間扱ってきた苦情の事案は「これで分かった、これからも気を付けてくださいね」というお電話をいただくという形で、処理済みになっているということが多いわけです。

地方行政に携わる市の職員などは「出来ないことは出来ない」といえます。しかし、その断り方は、親切に、納得出来るようにお話をする。担当が違うときは、「私のところでは扱っていませんが、隣の誰さんのところへ行くと相談に乗ってくれると思います」というような対応をするとか、やさしさと、ノーといえる厳しさ、そういうものを市の職員がもってくれるような意識改革をすることが、ソフト面での苦情処理対策になる、ということを私たちは、その都度、その担当者、或いは市長に申し上げており、そのことが、次第にいきわたってきたという実感をもっています。

 

 

 

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