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新聞記者というのは、頭はあまり緻密ではありません。資料を見ただけでうんざりしてしまうということもあります。広島フォーラムのとき、女性の見延さんという作家の方がパネリストに出ておられて、「(行政相談で解決した事案の中には)結構似た事案が多いので、そういうものがまとめて解決出来ないか、一例えば、屋根を直すときに、屋根瓦一枚一枚直すような印象を受けるが、屋根そのものを一度に直すようなことが出来ないか」と話されました。中央(総務庁)の行政苦情救済推進会議でも法律とか政・省令とかに基づく非常に緻密な説明があります。そういうのを聞いていると、私は頭が混乱するので口出しは出来ません。大きな山の姿が変わっていくのを察知して、それに対する行政苦情の予防が出来ればいいなと思います。

私、六法全書で入国管理法を見たのですがいやになってやめました。入管に関すること例えば、留学生が名古屋市立大学の大学院に夜間部が出来たので、夜間部の試験を受けて合格しました。ところが、入管の方から横槍が入って、留学生は夜間に行かしてはいけない。何故かというと、昼間働くからというのですが、これは変な話です。法律はそうなっていますが、結果的には入学を認めました。こういうことがいっぱいあります。

もう少し世間の常識、そういう線であまり法令の細かいところへ入らないでやる方法はないであろうか。そうするとマスメディアの方も取材しやすいのです。あまり細かいといやになってしまうということもあります。以上です。

(司会)

どうもありがとうございました。

続いて後藤さんには、介護保険を中心に、今後の福祉サービスの中での行政苦情の問題について、先程の補足をお願いしたいと思います。

(後藤氏)

これから介護保険がスタートしますと、いろいろな意味で潜在的な不満や直接的な要望などが出てくると思います。それぞれの行政のところで置いてらっしゃる窓口はたくさんあると思いますが、いずれにしろ、申し出られた相談は、どの窓口でも受けていただき、それを的確にネットワークを通じて、担当の機関に届くようにしていただくことが大事だと思います。そういうことを通して、市民が相談をすれば聞いてもらえるのだということ(必ずしも、すべて相談者のいうとおりにならなければならないことはないと思う。)

が、一応、相談があった場合に、納得していただくプロセスが大事だと思います。相談したことは、こういうふうなルートで考えてくれたのだ、ということが分かるようにすることが大事だと思います。相談したことは放置されないということが信頼につながっていくことですので、そのような点を大事にして欲しいと思います。

行政相談委員の方が、研修や体験学習をしているというお話がありましたが、市民の側も、相談したことがどのようなルートで考えてくれたのだというプロセスが分かれば、そのようなことを通して成熟し、苦情の出し方を学ぶ機会にもなります。そのような意味で、行政相談委員の方々に対する相談内容にも、今後、福祉の分野で、在宅サービスの介護量が足りないというようなことが、いろいろ出てくると思いますが、しっかり受けとめて欲しいということが私からのお願いでございます。

 

 

 

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