冬場は行けませんけれど、あそこへマイカーで行かれた方はブナの原生林見ることができます。もし、あの時に石川行政監察局が営林署に対し、皆伐中止を求めていなかったら今、ブナの木はないのです。大変なことです。それが一番大きな印象に残ったことなのです。
先程、塚本審議官から、行政相談制度の周知度が29%で、3割の人しかこの制度を知らない、というお話がありましたが、これはやはりPRに何か工夫がいるのではないでしょうか。
昨年、私は広島で開かれたこのフォーラムに出席した時、香港におけるオンブズマン制度のPR方法について、アンドリュー・ソウさんというオンブズマンの話をお聞きして、非常に感心しました。
これは、香港のオンブズマン事務局が、「オンブズ村の仲間たち」という、アニメの公共広告をつくり、これをテレビで放映したところ、これが非常に評判がよく、オンブズマンの知名度向上に効果があったという話です。PRをして周知度が上がれば、相談件数が急増し、パンクしてしまう、だから、もうこれでいいということなのかも知れませんけれど、年間に22万件くらいの相談があって、そしてそこそこ成果は挙がっているのだから、このまま維持していけばというのではいけないのではないか、ここで一工夫して再構築した方がいいのではないかと私は思うのです。
例えば、新聞とかテレビとか、マスメディアに対する広報といいますか、相談の処理結果を公表するのです。最近見ておりますと、段々マスメディアの扱いが小さくなっているのです。大都市にある大きな新聞ほど扱いが小さいと思います。
私は、仙台のフォーラムへも行きましたし、広島へも行きました。そして東京で開かれる、全国の行政苦情救済推進会議の委員さんたちの会議にも出席しております。そんなところで、いろんな人たちの話を聞きますと、行政相談に関する記事は、地方の新聞ほど大きい、しばしばトップ記事になることもある。ところが、東京とか名古屋とか大阪などでは、トップ記事はおろか、せいぜい大きくても見出しが二段か三段です。
これはやはり、一斉に記者発表をする、というようなやり方ではなく、例えば、取材のために足を運んで来た記者にだけ教えると、新聞記者というのは功名心が非常に高いものですから、俺だけかということになれば、書き方も工夫して、よしこれは段ものにしてやろうとか、写真をつけてやろうとかいうことになるのです。みんな一斉に同じ発表の紙をもらって書くとみんな小さいのです。ですから、その辺を少し工夫してもっと周知度を上げることが必要ではないかと思います。
それにまた、個人的な苦情でも個人の域を超えて全国的な問題になり得ることがあります。これは、中部管区行政監察局で取り扱った問題でしたが、ある単身赴任の人が、「アパート住まいをしているのだけれど、NTTの電話帳がどさどさっと来るので困る。何とかならないか」という苦情です。