そういうことを考えますと、苦情に対する対応が、市行政側の適正不適正というよりも、むしろ対応の仕方、あるいは責任範囲をまたいでいるものについてのたらい回しというようなことが、市民の苦情となっているものが多かったような気がします。
職員一人一人の対応の仕方が、市民の信不信の岐路となることを、職員一人一人に自覚させ意識改革をすることも、苦情処理、更には行政改革の主要な項目になってくると考えております。なお、私たちは苦情処理に当たっている中で、市の担当者が調査等に非常に誠実に答えて、市民の苦情に対応しようという姿勢が見られたことを高く評価しております。
今後の課題としては、指導者、職員が行政サービスの向上のために強い意識改革をすること、さらに、制度のPRを徹底的に行って、市民が行政相談を気軽に持ちかけることができるようにしていくことが必要であると考えます。
なお、資料の48ぺージ(108)に付表2として、私どもがPRに使っている「広報」の末端に掲載されております、相談事業の一覧表を付けておりますので、ご覧いただきたいと思います。非常に小さくて何の相談であるかよく分からない。さらに、表の下の欄外に、市以外の機関が行っている相談が記載されております。こういう縦割り行政の中において設置された、末端の相談事務の煩雑さ、分かりにくさを、市民にとって分かりやすいものに変えていくことも今後の課題の一つであると考えております。
お聞き苦しい点があったかと思いますけれども、以上で報告とさせていただきます。
(司会)
どうもありがとうございました。
地方自治体レベルにおける「公的オンブズマン」の経験であると同時に、西尾市の行政評価委員会の場合、自治体における行政改革との密接な連携で、オンブズマン機能を果たされているというのが特徴だと思います。特に80年代の行政改革がもう一つうまくいかなかったという反省に立って、国レベルでも現在2回目の行政改革の波が来ていると言っていいかと思います。90年代の行政改革を80年代の行政改革を越えて実質化していくということは、国レベルでも問題になっているわけで、そういう意味で、オンブズマン制度と行政改革との関係という、非常に興味深い問題点を出していただいたと思います。
併せて最後に紹介のあった資料48ぺージ(108)の相談の一覧表ですが、私も今回勉強して初めて知ったのですが、この表にあるような各種相談が国の場合だけでも35種類(相談(委)員数50万人)あって、いろんなタイプの苦情に対処しておられる方々がいるということですけれども、それぞれの問題に即すということはおそらくメリットでしょうが、いわゆる行政の縦割り構造という問題点が、苦情相談のところにも一つの問題として出ているということが最後に指摘された問題点だったと思います。
(司会)
次に、行政苦情救済の分野において、「新しい問題への対処」という中で、恐らく当然第一に思い浮かぶ福祉の問題に即して、日本福祉大学で社会福祉学部の教授をされております、後藤さんのほうからお話を伺いたいと思います。