次に、大きな問題と致しましては、仕組みが改善されると共に、全国的に波及するような事例がありましたのでご、紹介させていただきます。
これは、NHKの「クローズアップ現代」という番組でも採り上げられたわけですけれども、携帯電話からの119番、すなわち消防車、救急車通報の問題です。今では改善されておりますが、数年前までは愛知県内であれば、携帯電話からの通報はすべて名古屋市消防局へつながってしまい、名古屋市以外での救急車の出動を依頼する場合、管轄の消防署に電話をかけ直すか、あるいは公衆電話を捜し出すしかない、という状況にありました。しかし、携帯電話時代といわれる今日、現状に適した緊急通報態勢の確立を是非お願いしたいという、申し出がありました。
この要望を、行政相談委員から中部管区行政監察局に通知し、同管区局から愛知県に対し、「新規システムを早急に関係機関と協議されたい。」旨、あっせんされました。その結果、県内を名古屋を始め豊橋、岡崎、豊田など7ブロックの拠点都市に分割して、消防本部との間に即転送できる仕組みが採用され、昨年2月から新しい運用で始まっております。こうした問題は、全国各地にも未だありますので、これが全国的に波及すれば大変貢献できる事例になると思います。
さらに、その他にも他府県に波及効果があるような広域的な相談も数多くありますが、これらが即解決し得るのは、まさに国の行政相談委員であるが故だと信じております。その事例を一つご紹介させていただきます。
静岡県在住の申出人から「タイ人の女性と結婚し、在留資格認定書も発行されているので、既に身重になっている妻の入国ビザの発給を求めましたが、書類不備ということで4か月も経過してしまった。早急になんとかしてほしい。」との相談がありした。
この相談を受けた静岡の行政相談委員は、入国管理局が名古屋にあるため、静岡行政監察事務所を通じ、中部管区行政監察局に処理を依頼しました。同管区局が、名古屋入国管理局に対し、本件について早急に再調査するようあっせんしました。その結果、あっせんから2週間後にビザが発給されることになりました。
これは、行政相談委員─行政監察事務所─管区行政監察局の連携により解決された事例でありますが、これからは、さらに市町村相談室や民生委員、人権擁護委員などあらゆる分野で活躍されておられる方々と、相互に情報のネットワーク化を推進して行くことが大切であると考えます。関係機関による合同相談所の開設は、すでに行われているところでありますが、こうした関係をより一層強化していけば、行政相談制度は更にその機能を発揮していくものと信じております。
ご承知のとおり、行政相談制度に対する期待度は年々高まっております。私達もこれに応えていくため、行政当局からの御指導や研修、また私達同士での自主的な体験学習の交流を数多く重ねながら資質の向上に努めておりますが、これからも更なる助力を痛感致しております。