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この試みは、インターネットを利用されている方々─どちらかといえば若い方々ということになるかと思いますが、─そのような方々を対象に、苦情の申し出をされる機会をできるだけ広げて行こうという試みの一つであるわけでございます。

また、申出人が当該苦情をどこへ持って行けばよいのか分からない、というようなこともあろうかと思いますが、そのような場合にも、どこかへ持ってきていただければ、そこの場で解決できるというようなことも、窓口の拡大という流れの中で、非常に大切なことであると思っております。

その趣旨から資料の22ページ(90)にございますように、総務庁では、合同の相談所を設けるとか、あるいは関係機関との連携によりまして、一つのところへ来てくだされば、関係機関と連絡を取って苦情を解決する、というようなことにも力を注いでいるというところです。

さて、そういうことで一所懸命やっておりますけれども、私どもとしても今後に向けての課題の認識がないわけではございません。

この点につきましては、資料の23ページ(90)にいくつか書いてありますけれども、特に常に感じられますのは、行政相談制度の存在が国民に知られていなければ、この制度は無いも同じであるということでございます。行政相談制度の周知状況について、かつて調べましたところ、資料の23ページ(90)にありますように、29%が行政相談という名前を知っていたということでございました。この数字が高いか低いか、いろいろあろうかと思いますが、今朝ほどオースティンさんに伺いましたところ、オランダの場合は、オンブズマン─ナショナル・オンブズマン─という名称につきましては、90%以上の方が知っているとのことでございました。

ただ、オースティンさんがおっしゃっておりましたが、「あなたは、警察の苦情があった場合はどこへ持って行きますか。」という問いの後に、カッコ( )を空けておいて、そこにナショナル・オンブズマン、と書ける人は30%程度だということでしたので、それなりに、オランダでもご苦労があるのかと思います。

私ども、29%という数字は非常に低いということで、取り敢えず、まず第1の課題は、何と言いましても制度の周知ということであると思っております。そのため、いろんな努力も重ねておりますけれども、特に、広報媒体ということで申しますと、市町村の広報紙による広報が、最も効果が大きいということを、私個人的にも感じております。そこで、私どもは、国も市町村も一緒になって住民の方々の苦情を解決するという観点から、市町村の広報紙に、国の行政相談あるいは行政相談委員のことについて、できるだけ取り上げていただきたいということをお願いしておりますし、また、それに対して非常に力強い御協力もいただいているところでございます。時間がまいりました。取り敢えず課題としてはそこまでのところで止めて置きたいと思います。

(司会)

どうもありがとうございました。

行政府内部の機関である総務庁と一種のボランティア的な民間人である、5千人に及ぶ行政相談委員とが連携し、さらに、場合によっては、それに行政苦情救済推進会議というものが加わって、国民の行政苦情を処理するという日本の行政相談制度は、非常にユニークな存在であると思います。

 

 

 

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