この意味で、私どもの行政相談制度が、オランダを含めました外国のオンブズマン制度に匹敵する機能を果たしている─オンブズマン的である─と、いうふうにいわれるようになったのではなかろうかと思います。
さて、そういう謳い文句は分かったが、本当に機能しているのか?というところをご説明しなければならないわけですが、この点につきましては、資料に数字で若干お示ししておりますので、ご覧いただきたいと思います。
まず、資料の26ページ(93)をご覧ください。ここでもご覧いただけますように、大変数多くの相談を受け付け、解決しているということでございます。このことの大きな要因としては、行政相談委員が全国すべての市町村の区域に必ず一人はおられるということによりまして、全国津々浦々に窓口があるということが、一つ考えられます。
次に、その結果と致しまして、資料の27ページ(94)にあります相談事案の行政分野別内訳をご覧いただきますと、道路であるとか、生活衛生・廃棄物という環境、身の回りの美しさというものに関係する苦情も多く、さらに、社会福祉や交通安全という本当に身近なことに関する苦情というものを中心に、申し立てをいただき、解決しているわけでございます。
同時に冒頭の特色で申し上げましたように、単に個別の苦情の解決に止まらない制度的改革もできているという点がございます。いくつかの事例が、資料の28ページ(95)にございますが、これは、先程申し上げました行政苦情救済推進会議─中央では大臣の諮問機関、また、中部管区行政監察局も含め、各管区局では局長の諮問機関という形で設けられている─にご活動いただきまして解決を図ったものでございます。
私どもが受け付けました相談の中には、「苦情ではあるけれども、今の制度では仕方がない、しかし、その苦情は解決しなければならないのではないか」と思われるものがあります。そういった時に、制度そのものを直すということによって、個別の苦情の解決を図るとともに、将来そういう苦情が出なくなるようにするという措置を関係機関に求める必要があるわけです。その時に、民間の有識者でございます、行政苦情救済推進会議のメンバーのご意見をいただきまして、それに基づいて関係機関にあっせん─我々の意見の申し入れ─をするということになるのです。資料の28ぺージ(95)に掲げております事例は、いろんな形で個別の苦情として出てきましたものについて、最終的には制度そのものを変えて行くということにより、申し出られた苦情を解決し、将来における苦情の発生も予防出来ることとしたものでございます。
私ども、そういうことで一所懸命やっているわけでございます。次に、私どもが近年、制度運営の中で特に努力をしている点でございますが、やはり、私どもにとって一番大事なことは、管区行政監察局・行政監察事務所、行政相談委員による全国ネットワークの仕組みはあるわけではございますが、さらに、申し出ていただく窓口、それから申し出の機会をできるだけ広げなければならない、ということがあろうかと思います。
その観点から、資料の22ページ(90)の「(2)多様な相談活動」のところにありますように、昨年からインターネットのホームページで、苦情の受付をするということも始めました。