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オンブズマン:その役割と発展の国際比較

 

マーティン・オースティン

(前オランダ・オンブズマン)

(前国際オンブズマン協会会長)

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ご列席の皆様

序論

まず初めに、総務庁行政監察局及び全国行政相談委員連合協議会に対し、この会議にお招きいただき、お話をする機会をいただきましたことを心よりお礼申し上げます。

今回のお招きは、私の考え方やオンブズマン制度にまつわる経験に関心を持っていただいていることの現れであると、大変光栄に存じます。オランダのナショナルオンブズマンとしての12年間、特に、国際オンブズマン協会の会長を兼任しておりましたころに、行政監察局や全国行政相談委員連合協議会の代表の皆様とお会いする機会がありましたが、そうした方たちとこの会議で再会し、更に親交を深めることができますことは大きな喜びでございます。すでに東アジアの国々には行っておりますが、日本は全くの初めてで、訪日できたことを非常にうれしく思います。日本は豊かな文化的伝統と新しい時代の強い活力とを兼ね備えておられる国でございます。今回の訪日で、日本文化の様々な側面をじかに体験する機会を得られましたことは、誠にすばらしいことであると考えております。

特に、私が楽しみにしておりますのは、皆さんが 「日本型オンブズマン」と呼んでおられる行政相談制度についての知識を更に深めることです。国民が信頼を置く、やる気と経験のあるボランティアの行政相談委員の密接なネットワークが、行政苦情救済推進会議の助力を受けながら、早期警告と予防に重点を置いた行政監察組織と結びついて苦情処理を行うというこの制度は、世界でも例のないものです。この制度の興味深い特徴は、国民と政府との間の問題を穏便に、なるべく調和を図る形で解決するということを目指していると同時に、問題の根本原因を究明し、それに対処する必要性も認識しているという点であります。

この講演で、私は日本だけに限らず、オンブズマン一般の役割をお話して、この制度が他の国々でどのように発展してきたかということを比較して、いくつか私の考えを述べたいと思います。また、私自身がオンブズマンとして仕事をしておりましたときに発見したことなどもあわせてご紹介したいと思います。

また、皆様からも、特に他の国々と比較した日本の状況を中心に、この後のディスカッションの時間にお教えいただきたいと思います。

 

 

 

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