第2日目(11月10日)
[海外からの招聘者と行政相談委員の代表との意見交換]
午前10時から、平山中部管区行政監察局長の司会により会議が開催されました。まず、平山局長から出席者の紹介があり、次いで、中部行政相談委員連合協議会の谷会長から「オランダからマーティン・オースティンさんをお迎えして、意見交換会を持つことができたことは、光栄である。本日は、オランダにおけるオンブズマン制度と我が国における行政相談 (委員)制度について、意見交換をしていただき、これからの私たちの活動に大いに役立てたいと思う。活発なご意見をお願いいたしたい。」との挨拶がありました。
また、オースティン氏からは、「こうした意見交換の機会を与えていただき、心から感謝している。昨日は、大変規模の大きな会議であったが、本日は、このような非常にアットホームな雰囲気の中で、皆さんと意見交換できることを大変嬉しく思っている。」との挨拶があった後、質疑応答の形で話し合いが進められました。
その要旨は、次のとおりです。
○ 土平委員:私どもが扱っております相談は、非常に身近な市民生活に関する行政へのお願いごとというか、非常に小さなことでも取り上げておりますが、オランダでは、そういう本当に身近な問題を聞いてくださるような制度はあるのでしょうか。
● オースティン氏:オランダには、「アドバイス・ビューロー」といって、市民のためのアドバイスをする機関が、全国にネットワークのような形で広がっております。この「アドバイス・ビューロー」では、いろいろな問題を持っている方たちから意見とか、苦情を聞くとともに、市民に対する情報の提供も行っております。
私が12年間仕事をしておりましたナショナル・オンブズマンの仕事は、政府あるいは行政に対して、いろいろと困っている市民の方をフォローするとか、悪い行政、政府から国民を保護するということであります。
多くの方たちは、オンブズマンの仕事について、あまり詳しくは知らないということがあります。例えば、電話とか、手紙で申し出のある苦情とか、質問などの中には、オンブズマン事務所の主たる仕事である、政府とか行政から国民を守る、ということとは少し関係のないものもあります。しかし、オンブズマン事務所のスタッフ(100人以上のスタッフがいます。)は、とにかく一度苦情をお受けして、できるだけ何らかのアドバイスができるように援助をするということをしております。このようにスタッフは、主たる仕事のほかにも、申出人に対し、アドバイス、あるいは情報を提供するということで、皆様方が、地域の中で、行政相談委員としてやっておられるような内容の仕事もしているわけです。
ナショナル・オンブズマンは、受け付けた苦情について調査をする権限を与えられています。そして、オンブズマンが調査を行う場合には、調査を受ける側は、その調査に協力しなければならないことになっているわけです。また、オンブズマンは、必要であれば証言をしてもらう(こういうケースは今まではありませんでしたが)ということも要請できる権限を持っているわけです。