一つの例を申し上げたいと思います。
それは、市民のみなさんが色々な官庁、お役所に手紙を書いてもその後全くなしのつぶてだということを、苦情としておっしゃることがよくありました。このため、私どもは、各省庁が市民からの手紙を受け取った場合に、どのように対処しているかということについて調査し、その結果を基に、各省庁に対し、「きちんと回答するように」ということで、次のようなことを要請しました。
つまり、各省庁は、どのような手紙がきて、どの部署がそれに対応したか、すぐに返事ができない場合にはどのくらい待てば返事を出せるのか、それから実際に対応した部署の連絡先の電話番号、そういったような細かな情報を、手紙の発信人にきちんと提供するようにと、いうことです。
このような私どもの要請に、すべての省庁が対応するようになりましたので、それ以後同様の苦情は出てこなくなりました。
次いで、司会者の指名により、前半とは逆に、田村氏から順に発言がありました。各パネリストに対する質問及び答弁の要旨は、次のとおりです。
田村氏
(質問要旨)
ジャーナリストとしての立場から、「新聞記事にしたい」と思われる相談事案の内容、「記者をひきつける」相談事案の公表のテクニックについてのポイントをお聞かせいただきたい。
(答弁要旨)
記者をひきつけるということは本当に難しいことです。
行政相談は地味な話が多くて、難しいと思いますけれども、地味な問題のなかに、時に先程申し上げた「NTTの電話帳の問題」のように、壮大なる無駄というようなのがあれば、これなどはトップ記事になります。
白山のブナの話は、私が飛びついたのです。新聞記者に、「あそこへ行くと時々掘り出し物がある。」、「あそこの行政監察局の相談課へ行って、いろいろだべっていると面白い話がある、行ってみようかな。」と、いう気持ちを起こさせる行政監察局の工夫も必要だと思います。
後藤氏
(補足説明)
これから介護保険がスタートしますと、いろいろな意味で潜在的な不満や直接的な要望などが出てくると思います。申し出られた相談は、どの窓口でも受けていただき、それを的確にネットワークを通じて、担当の機関に届くようにしていただくことが大事だと思います。そういうことを通して、市民が相談をすれば聞いてもらえるのだということ(必ずしも、すべて相談者のいうとおりにならなければならない、ということはないと思うが)、つまり、相談したことはこのようなルートで考えてくれたのだ、ということが相談者に分かるようにすることが大事だと思います。相談したことは放置されない、ということが信頼につながっていくので、そのような点を大事にして欲しいと思います。