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この三つの特色により、総務庁の行政相談システムは、一つは全国どこの苦情でも、また、どの省のどの仕事に関する苦情でも受付・解決でき、もう一つは、単に苦情の解決に止まらないで、行政そのものを改善しているという意味で、行政相談制度が、外国のオンブズマン制度に匹敵する機能を果たしている―オンブズマン的である―と、いわれるようになったのではないかと思います。

次に、活動の実績ですが、年間227,000件という大変数多くの相談を受付・解決していますが、このことの大きな要因としては、行政相談委員が全国すべての市町村に必ず一人はおられる―全国津々浦々に窓口がある―ということが考えられます。

なお、更に窓口を広げる趣旨で、昨年からインターネットのホームページでも苦情の受付を始めました。これは、インターネットを利用している方々を対象に、苦情の申し出をされる機会をできるだけ広げていこうという試みの一つであります。

また、申出人が苦情をどこへ持って行けばよいのか分からない、というような場合もあろうかと思いますが、このような場合にもどこかへ申し出ればそこで解決できるということも、窓口の拡大という流れの中で、非常に大切なことであると思われます。その趣旨から、総務庁では、合同の相談所を設けるとか、関係機関との連携により、苦情を解決する、ということにも力を注いでいるところであります。

今後の課題としては、何といっても制度の周知ということがあります。行政相談制度の存在が国民に知られていなければ、この制度はないも同じであります。行政相談制度の周知状況について、かつて調べたところ、29%が行政相談という名前を知っていたということでありました。この数字は、非常に低いということで、いろんな努力も重ねてはおりますが、特に、広報媒体ということでいえば、市町村の広報紙による広報が、最も効果が大きいということで、市町村の広報紙に、国の行政相談あるいは行政相談委員のことについて、できるだけ取り上げていただきたいということをお願いしているところであります。

 

谷 昇氏

私たち行政相談委員は、地域住民の「身近な問題」から広く国内外にまたがる「大きな問題」まで、熱意を持って解決していく必要があると考え、日常の相談活動を行っておりますが、その状況を具体的事例を交えながらご紹介したいと思います。

〇 身近な問題を解決し、多くの地域住民に喜ばれた事例

ある小学校の門前に住む人から、「学校で会合のある時や、雨の日などに、自動車が狭い道に多数駐車して付近の通行を妨害し、またクラクションがうるさくて困っている。」という相談を受け、行政相談委員として、当該小学校や教育委員会に改善を申し人れましたところ、学校では、PTAの会合で自家用車の自粛や校門付近での駐車を禁止する旨を伝え、そのことを掲示して注意を呼びかける措置が取られたことによって解決しました。

 

 

 

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