16. 日系三世に対する国民健康保険税、市民税等の減額について
福岡県北九州市八幡西区
行政相談委員 坂本 毅平
私が、行政相談委員として受け付けた外国人に関する相談で、印象に残る事案について紹介いたします。
申出は、ブラジルから出稼で来日した日系三世である義理の甥の国民健康保険税、市民税の納入についての問題であった。
ブラジルから出稼で来日した義理の甥は、関東地区の某市の町工場で働いていたが、全く地縁、血縁のない未知の地で、言葉もよく通じないことなどから、平成6年に親戚を頼って北九州市に来て外国人登録を済ませた。この甥は、市内の小さな企業で働いているが賃金は、1か月10万円程度で収入は乏しい。
ところが、その後この甥に対して前の居住地の某市から、国民健康保険税の請求(再督促の通知もあり)110,900円及び市県民税66,100円、合計177,000円の請求があった。甥は、日本の法令、習慣等は不知であり、かつ収入は極めて乏しく現在の生活がやっとの状況であって請求金額の納入は困難であり、対応に苦慮している。せめて「分割納付」はできないであろうかと言うものであった。
申出を受けた後、言葉が十分に通じるか自信はなかったが、ともかく申出人の甥に面談し生活の現状や悩みなど聴取するとともに事実を確認し、また、区役所からも市民税及び国民健康保険税制度等について聴取した結果、一定の要件のもとに納付制度として「分割納付」または「減税」の方法があることも判明した。
そこで、この外国人が居住していた某市の行政相談委員(地相協会長)に連絡をとり、市へ相談の趣旨に沿った何らかの解決の余地等について依頼したところ、委員は熱心に、納付義務者である外国人の実情について詳しく説明して頂いた結果、市規定の減額措置が適用され、納付通知額の約30%に当たる51,630円の納付と改められた。申出人及びその甥の外国人から大変感謝されました。
本件は、地方税に関するものですが、外国人の窮状のもとに行政相談委員のネットワークを活用して、某市の行政相談委員に御相談したところ、委員の御尽力と関係市の御協力により申出に沿った解決に至ったものです。この相談を通じて、最近、国際化の声高く、また、日系二世、三世の方が祖国に来日されて、各地で肉体労働に汗しておられる。総務庁の行政相談委員の立場から、この事案の意味するものとして、言語はもとより、生活習慣や行政の仕組み等が異なる外国人の方々に対する行政の壁の厚さや解決すべき沢山の課題を一つ一つ慎重に掘り起こして行く必要をしみじみ感じております。