外国人からの行政相談はこの制度が周知されていない点もあり数年間で7、8件の相談を受けたのみであるが、その相談内容は次の通りです。
1]不動産払下と登記 1件 (韓国)、 2]医療 1件 (ブラジル)、 3]住宅 3件 (韓国)、 4]戸籍 2件 (韓国)、 5]教育 1件 (朝鮮)
このうち、5]の事案は、昭和62年の申出で外国人学校も全国高等学校競技大会に出場を認めて欲しい、参加出来ないのは明らかに民族差別によるもので、速やかに差別の壁を取り除くべきだとの要請でしたが、当時各地に於いて指紋押尉巨否や公務員採用の条件撤廃等々の在日外国人の社会運動が紙上を賑わしてしていた頃でもありました。委員としては府教委に照会すると、当時としては外国人学校は学校教育法による高等学校に該当せず高校体育連盟にも加盟が認められない、よって府県予選にも出場は出来ません。この回答が当時の各種学校に対する当然の扱いでしたが、その後社会情勢の変遷は学校体育にも変革が見られ、今日では朝鮮高級学校も全国高校大会の野球、サッカー等々の府県予選に出場して話題を提供している状況です。
外国人のための行政相談は、改めて考えたのではなく、一般市民の相談として相談を受け事案を処理してきたのですが、果たしてこれで良かったのかと自問自答してみると、時代も世相も変化は加速されて国際性も高まり、複雑多岐な流れの中で、この時代の要請に充分対応できる行政相談委員として、研鑚努力して頑張らねばと自覚させられました。
12. 不法滞在外国人との結婚
福井県福井市
行政相談委員 前田 義光
短期の観光ビザで日本に入国したタイ国籍の女性Kさんは、ビザ期間終了後も不法に滞在したうえで、市内の飲食店(スナック)で就労していました。
しばらくして、そこでの常連客である日本人男性のMさんから、Kさんと結婚したいのでその手続を教えてほしいとの相談を受けることになりました。その時の話では、タイ人の間で、日本人との間に子をもうければ帰国せずに日本に定住できるとの風聞があり、これが本当であればその様にしたいとのことでした。
不法滞在外国人と日本人との婚姻については、法律上の問題があるだけでなく犯罪等に関与する可能性も高いと思われたので、Mさんに対して、当面、時間をかけて真実を見極めることに努めるよう助言しました。
また、Kさんは不法滞在の状態のまま婚姻することを強く望んでいましたが、誤った風聞によらず、法律上の手続を遵守して、とりあえずタイ本国に帰国するよう説得しました。
その際、将来のこと、特に子供が生まれた場合の国籍問題や就学問題、さらに強制送還された後のKさんとの面会方法等について親身になってアドバイスを行いました。