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3. 外国籍を持つ子にも平等の権利を

 

茨城県八郷町

行政相談委員 鈴木 幸子

 

筑波山麓の静かな盆地に位置するわが八郷町では、外国人就労者や、その家族の姿を見かけるのもそう珍しくない昨今である。

10月半ば、3歳位のかわいい女の子を連れたタイ国籍の若い母親の訪問を受けた。

相談の内容は、4年前にタイからビザなしで渡日し、日本人男性と知り合って内縁関係を結び、一女をもうけたが、現在別居中である。娘がタイ国籍のため、町で行う健康診断や予防接種等が受けられない。子供の命に関する重要な問題なので何とか配慮して欲しいとのことであった。早速、申出人とその義姉と共に町住民課へ行って事情を説明し、子供の将来のためにも日本で安心して生活できるよう、戸籍取得までの特別在留証明を得る手続きについて相談するとともに、町保健室に予防接種等を要望したが、県の指導で住民票のない外国籍の者には予防接種等は出来ないとの返答だった。その後、行政監察事務所から本件の対応について助言を受ける一方、町の人権擁護委員を通じて法務局に相談したところ、まず、子供の日本国籍を取得すること、母親が正規の入国手続きをすることとの指導があった。しかし、話を進めているうちに、現実にはいくつもの障害があって簡単には国籍取得や入国手続きがとれないことがわかった。

まず第一に子供の父親の認知が必要であるが、その父親が不在で(父親には法律上の妻が居り、現在は法的裁きを受けている身分)、母親も不法入国の身であるから特別在留証明も認められない。日本国籍を取得するためには、一度国籍のあるタイに帰国して、正規の手続きをして日本に再度入国しなければならない。けれども現実問題として、現在の生活を捨て、幼児を連れての出入国は時間的にも金銭的な面でも早急には不可能であるという。そこでとりあえず申し出のあった子供の予防接種等が受けられる為の手続きを優先して進めることにした。町の保健室でも、室長はじめ保健婦さん達が幾度も父親の兄弟宅を訪問し、話し合いをしてくれた。その結果、やっと12月末に子供が認知され、住民届けの手続きを済ませ、町役場にて外国人登録をすることができた。現在は健康保険証も交付され、健康診断、予防接種等が受けられるようになった。

この報告を受けた時の母親の嬉しそうな笑顔、まだ十分でない日本語で「アリガトウ」「アリガトウ」を言っていた姿が今でも私の心の中に印象深く残っている。及ばずながら一つの手助けができたことは、私自身にとっても大きな喜びである。

母親の日本国籍取得についてはまだまだ多くの問題が残っている。行政相談委員という立場を離れ、同じ女性として考えるとき、彼女がこれからどう生きていくことが真の幸せにつながるのか、日本国籍を得てこの母と子の将来は、果してどうなるのだろうかなど、あれこれ考えると複雑な心境になってくる。しかし、日本国籍の取得はこの母親の強い願いである。いくつかの条件を一つ一つクリアし、周囲の協力を得て一日も早く実現できるよう願っている。

今回の相談事例は、いわば法の綱をくぐり抜け、やむにやまれぬ事情を抱えて生活している人に対して、行政はどのように手を差し伸べていくべきか、私達相談委員の関われる範囲はどこまでかなど、いろいろ考えさせられた貴重な体験であった。

 

 

 

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