「防災」とは何かというと、これについても災害対策基本法に定義がある。災害対策「防災」とは基本法では「防災」を三つのカテゴリーに分けて定義している。一つは「災害」を未然に防止すること(災害予防)。第二に「災害」が実際に発生した場合にその被害の拡大を防ぐこと(災害応急対策)。さらに第三のカテゴリーとして「災害」の復旧をはかること(災害復旧)も「防災」に含めて定義している。日常的な用語で「防災」というときには、「災害」を未然に防止する災害予防と、「災害」が発生した場合における被害の拡大を防ぐ災害応急対策の二つに限定して使われることが多い。実際に「災害」が起きて被害が生じてしまったあとに復旧をはかることは日常的な用語では「防災」に含まないことが多いが、災害対策基本法では災害復旧もまた「防災」の中に含めている。
日本の災害予防には、危険な個所にできるだけ住まないようにし、災害に巻き込まれないようにすることが第一である。そのために、建築基準法では地方自治体が条例で津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定できることとなっており、都市計画法においても線引きによって一定の土地利用規制が図られている。しかし、災害危険地域として指定されると、その地価を下落させることになるため、地権者から反対を受けやすく実施が容易でないのが実際である。また、ソフトな方法として過去の浸水実態等を公表する方法もあるが、同様に反対が多かった。そのため、日本においては公共工事で、治山治水を行ってきたのである。
こうした公共工事による災害予防は、膨大な費用と時間がかかるため即座に対応できるというものではなく、その間に危険な個所に居住や財産の蓄積が集積してしまうことが多かった。また、ガソリンタンクなどの危険物の埋設には、一定の公共施設から離隔距離をおくことが義務づけられている。しかし、これも後から地下鉄が近くを通ることになった場合法律では設置者が移設する義務を負うこととはなっていても、移設の費用をどちらが負うかは難しい問題となる。どちらにしても、災害予防をハードな工事で解決していくには限界がある。
災害応急対策としては、災害対策基本法に基づく避難措置の勧告や措置、破壊消防、人的公的負担といった通常時ではなしえない措置を講じることができる。
災害復旧では、被災者個人に対する救済制度と、被災地域に対する救済とに分けられる。個人に対する救済制度としては災害救助法があるが、阪神・淡路大震災における仮設住宅の提供、収容施設の供与、炊き出し、被災した家屋の応急修理、資金の貸与などが本法に則って行われた。しかし、わが国の法律の場合自然災害によって被災した場合、行政の過誤が明確でない限り損害を補償するものではない。災害弔慰金においてもその額の多寡については大いに議論がされたところである。一方、被災地域の復旧に関しては、一般に国庫補助を増額して公共施設を回復する措置が採られる。しかし、ここで留意しなければならないのは、単なる原状回復だけでは災害に強い、もしくは災害に対応可能なまちづくりが展開できないことである。