問題の解決を通じ感じたことは、言語はもとより生活習慣や行政の仕組み等が異なる外国人に対する行政の壁の厚さや解決すべき沢山の課題があることである。一つ一つ慎重に堀り起こして行く必要をしみじみ感じている。
[事例7. 中国人の夫の入国の簡素化]
(神奈川県横浜市田中ルリ委員)
相談者は、パリ留学中に知り合った中国人と1998年3月、香港で結婚式を挙げた女性で、香港と日本にそれぞれ職を持ち同居が困難な状況である。
結婚により入国も容易になると思っていたが、手続きはかえって複雑になった。病気になっても夫が駆けつけられないのは人権問題であるとして、入国の簡素化を切望した。
このような相談を受け、入国管理局に問い合わせたが、親族の呼び寄せでなく一時滞在であり、香港返還時で人々の動きが激しくむしろ審査は厳しくなるということで、申出人の落胆は非常に大きかった。
この相談事例報告をみた行政監察事務所から、まず手続き通り申請するよう本人に勧めるよう助言があり、本人は夫の入国を半ばあきらめていたが、勧めで再度手続きに走り廻った。
間もなく彼女から電話があり、入国手続きが1ヵ月で完了した上、1年間有効の日本滞在許可書がおりたと喜びの連絡があった。
最近の近況では、1年の有効期限も間もなく切れるとのことであったが、近く子供も生まれるということで、再度頑張って手続きをとるとのことであった。
国際化の進む現在、外国人の出入国は増加しており管理事務は大変だと思うが、家族や夫婦の形態も様々に変化しているので、できるだけ個々のケースに柔軟に対応して頂きたいものと感じた。
[事例8. 在留資格の変更申請]
(和歌山県金屋町吉松良治委員)
中国より日本の大学医学部へ留学生として来日し、国家試験にも合格、その後大学院博士課程に進学。その間の在留資格は留学生ビザで毎年在留期間を更新してきていた。入国管理局に資格変更(定住ビザ)について問い合わせをしたところ、無理との返事であり、将来日本で医療の仕事をするうえで困ったことになるのではということで相談があった。
行政監察事務所の助言指導や入国管理局担当官の適正な助言などがあり、日本で身につけた高度な医療を日本社会で貢献する決意をして、永住ビザの申請をした。
本人は、申請から認可されるまで長い期間を要すると覚悟していたようであるが、短期間に認可された。本人の喜びはもとよりのこと本国の親からも感謝の言葉にそえて、次のような句が寄せられてきた。
『我国と信じて居りし 日政時。差別はあれど なお日本好き。』
この相談を通じ感じたことの一つとして、法令と法令の関係や条文の表現が大変難しい。