しかしながら、先進技術のVTSには、それを運用する熟練した要員が必要であります。要員の訓練がゆるがせにされることがなかったことを知ることは心強いことであり、実際に、VTS要員の訓練基準には近年素晴らしい進歩がありました。IALAによるVTS要員訓練教程規範はその一つであります。この教程には、交通管理、航海知識、通信統制、機器、VHF通信、用語、緊急事態などの各教程項目があります。各項目は、VTSを運用するための基本的な技能を要員に習熟させるものであります。
最後にもう一度、シンガポールは、皆さんと手を携えて綺麗な海、安全な海を目指して参ることを申し上げまして終わりにしたいと思います。ここでIMO事務局長William O'Neil氏からこのシンポジウムに対して個人的なご支援を頂いたことに謝意を表したいと存じます。氏のご参加は、IMOが航行の安全に強い抱いていることを示すものであります。また、IALA事務局長Torsten Kruuse氏に対し、MPAがこのシンポジウムを開催できるようお骨折りいただいたことに感謝を申し上げます。
実り多いセミナーとなることを祈ります。そして本日遠くからここにお集まり頂いた海外の友人の皆さんには、シンガポールを楽しむ時間をとって頂いて、良い思い出をお持ち帰り下さいますよう希望いたします。
国際海事機関(IMO)William A.O'Neil 事務局長の基調講演
議長、大臣閣下、そしてお集まりの皆さん。
先ずはこの会議場にお招き頂いたことにお礼を申し上げたいと存じます。これは私にとって新たな千年紀における最初の関わりであり、それが此処シンガポールで開催されることはこれ以上の適切な地はなく、この時期における議題としてVTSが取り上げられたことも、主題として最も適切であると考えるものであります。それは船舶通航業務が将来を指向するものであるからであります。このシステムは現在も尚、進展、開発が行われつつあり、このシンポジウムもその過程の一貫であります。このシンポジウムが我々の知識に寄与し、思考を刺激し、開発されている技術をどのように利用するのが最善であるかを決定するのに役立つものと考えるものであります。
しかしながら、VTSは将来間違いなく拡大するとは思いますが、交通状況を沿岸から監視するという考え方は、特に目新しいものではないということを思い起こすことは大切なことであると私は思います。最初の港湾監視レーダーがリバプール港に開設されたのは1948年でありますが、港内アドバイザリーシステムについての最初のIMO総会決議が採択されたのは1968年であります。