日本財団 図書館


第1章 はじめに

 

1.1 経緯

浮体構造物は環境にやさしい、地震の影響が少ない、水深や海底地盤の状況に関係なく海域を利用できる、工期が短いという特徴がある。反面、波浪等により生じる動揺が利用者の乗降及び荷役の効率低下を招いている。

港湾施設利用者を対象としたアンケート調査結果では、図1.1のように過半数以上の人が揺れを弊害と感じており、動揺の原因として船が近くを通った時の航走波など船に関連する事例を主要因にあげている(詳細は付録C参照)。そのため、浮体構造物の適用範囲拡大のためには、動揺を低減する機構を開発し、人にやさしい浮体構造物を創造し、浮体の利便性及び快適性を向上させる必要がある。

そこで、(財)沿岸開発技術研究センターでは、「揺れない浮体構造物の研究委員会(委員長:広島大学工学部 高木幹雄教授)」(付録A参照)を設置し、平成9年度から平成11年度の3ヶ年研究を進めてきた。その結果、動揺制御効果が期待でき、経済性に優れたメンテナンスの容易な機構を4案に絞り込み、解析による検討、水槽実験による検証を行った。

本マニュアルは、この研究の動揺制御技術の開発成果を幅広く活用していただくために揺れない浮体構造物の設計法をマニュアルとしてとりまとめたものである。

 

002-1.gif

図1.1 揺れに対する感覚

(港湾管理者・旅客を対象としたアンケート調査)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION