看護婦はチームメンバーの一員であり、患者・家族も同様にチーム医療を実践して行くうえで重要なメンバーです。
看護婦は24時間患者のベッドサイドにいるため、喜び、悲しみ、孤独などの患者の気持ちを直接的に受け、感じることができます。同じ一人の人間として患者に共感し、揺れたりする存在です。必要な情報を提供し、患者自身が行うセルフケアを支え、自分で選択できるようにそこまでの過程を一緒に考えていくことが大切です。プライマリーナースは患者の問題解決のために、チームの中のどの役割と専門性が必要であるかを判断し、積極的にチーム間で相談していました。患者の意志決定は人間としての尊厳や主体的な生き方に関わってくるものであり、QOLを支えることにつながると考えられます。そのためにはお互いに知るためのコミュニケーションが必要であり、それは職種間でも同様であると実感しました。
患者・家族に関わるすべてのチームメンバーは対等な関係であり、共通の目的は患者の全人的な苦痛を軽減することです。看護職はお互いの価値観や存在を認めるような広い視点をもってチーム医療をコーディネートし、チームが円滑に機能できるように調整役割を担っていると思います。これらから施設の特徴や理念にあったチーム医療の体制やケアに対しての考え方を学ぶことができました。
研修で学んだこと
私は、ホスピスケアは単にホスピスで行われるケアや終末期におけるケアだけではなく、がんと診断がついたときから最期の時までの全過程に関わるケアと考えています。患者のおかれている状況は様々であり、治療中であってもがん性疼痛やそれ以外の症状コントロールを全人的に行うことだと思います。終末期において患者にとって重要なことは、病気そのものの治癒を目指す治療よりも、安楽で安全であり安心して過ごせるケアだと思います。患者と同様に家族に対しても全人的な痛み(身体的・社会的・精神的・スピリチュアル)に対するケアが重要であり、ニーズの充足を考えていく必要があります。このように看護の対象は患者及び家族であり、ケアに関わるすべての医療者が責任をもって、人間としての尊厳を守りながら、その人らしく最期の時まで生きることを支えていくことが大切であると思います。看護婦という役割を超えて同じ人間同士として、お互いの人間性が重要視されます。
講義を通して、看護全般の授業の他に対人関係、リーダーシップ、看護倫理を学ぶことにより、改めて医療者としての責任と自覚を実感しました。終末期において患者の人間としての権利や尊厳に関わる問題が、日常的に存在しています。それらの問題を解決するためには、チーム医療が重要となってきます。患者の意志決定を支えるために、患者が何を求めているのかを知り、必要な情報提供を行うことが必要です。患者をよりよく知るためのコミュニケーションが必要であり、考え、意向、希望、訴えなどを聴いて、患者が判断し、自分自身のQOL(生活の質・生命の質)が維持できるように一緒に考えていくことが大切だと思います。患者には限られた時間を平安に過ごす権利があり、この時間がどのように過ごせるのか、またどのように過ごしたいと思っているのかを患者を擁護していく者として理解しておく必要があると思います。
終末期における看護婦の役割は、症状マネージメント及び社会的・精神的・スピリチュアルな援助、普段の毎日の生活に基づいた援助、家族のニーズを支えていく援助、チーム医療でのチームの調整的役割が考えられます。看護婦にはチームの一員として、専門職としての専門的な知識・技術が必要であり、患者と家族を一つの単位として捉え、患者自身がアウトカムを出すことができ、意向に沿えるようにしていくためのアセスメント能力が求められます。統一したケアを提供できるように、そしてチームが円滑に機能できるために、チームをマネージメントしていくことが必要であると思います。