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ホスピスケアに関わる専門職として、生きること、死に直面していることなど、人間は生まれながらにして成長発達しながら死に向かっています。終末期における医療に対する自分の考え方や信念・価値を個人的にしっかりともっていることが必要であると思います。それを病棟の理念と併せチームとしての考え方を明確にしていくことが重要だと思います。

 

今後の展望

 

現在退職中ですが、就職後はその病院の理念・目標に沿ったケアを行っていきたいと考えます。建物の形式や病棟の配置、組織全体としてのホスピスの捉え方を理解しておく必要があります。

終末期である患者はホスピスや緩和病棟のみではなく、一般病棟においても同様に入院生活を送っており、多くのがん患者は一般病院で亡くなっています。ホスピスケアはどのような疾患や状態であっても、患者と出会ったそのときから始まっていると考えます。日々行われているケアを、一般病院とホスピスを区別するのではなく、一般病院の環境の中でできるケアは何か、各々におかれた状況から考えていく必要があると思います。患者自身がホスピスの知識や、これからの日々を過ごす選択の一つとしてホスピスを考えることができるような情報提供も重要だと考えます。ホスピスケアがホスピスのみと断定されるものではなく、どの患者も全人的苦痛の軽減を願っていると考えられます。そのためには看護の対象である患者・家族に対して、がん医療に対する知識やホスピスケアに関する最新の知識・技術をもってよりよいケアを提供できるように、専門職としての責任をもって関わっていきたいと思います。そこで自分の考えを、患者に関わるすべての人にわかるように、言葉で表現しながら、相談・指導を行っていくことだと思います。

チーム内でのそれぞれの立場の視点に立ったケアの評価から継続したケアを提供し、実際に行われているケアの意味から科学的根拠をもち、実践での行動が理論の裏づけに伴うように看護の独自性を図っていく必要があると思います。看護の主体は健康に対するニーズと自助能力をもつ対象であり、看護婦はこれらの能力が最大限発揮できるように必要な援助を提供していきたいと思います。そのためには自己のセルフケアを知り、自分の看護観を見つめながら柔軟性をもって、一つひとつのケアを積み重ねて、ていねいに評価し看護の質の向上に努めていきたいと思います。

今回日本財団補助事業である日本看護協会認定看護師教育課程ホスピスケアコースの研修を無事に終えることができたことに対して、心より感謝を申し上げます。これからは自己の人間性を高めながら、認定看護師としての役割を果たすことができるように、実践の場で学びを生かせるように自己を研磨し努力していきたいと思います。

 

 

 

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