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今後は、職場に戻り、そこでの実践を通して少しでもコミュニケーション・スキルが自分のものとして行動化できるように努力したいと思います。

自律に配慮した日常生活援助に関しては、看護の原点を考えさせられた思いでした。対象者のありのままの思いをいかに支えるかという、看護の基本に立ち返ることができました。患者さん一人ひとりにいかに丁寧に関わり、対応するかということで、ホスピス・緩和ケアの目指す、患者さんのQOLの向上に貢献できることがわかりました。

 

今後の展望

 

この実習の後、1週間、河北・高井戸訪問看護ステーションにおいて在宅看護の訪問看護実習を行いました。ここでは、在宅こそが対象者の本来の生活の場であり、病院施設は対象者にとっては特別な場であるという当たり前のことに気づいた実習でした。病院で長い間勤務していた私は、患者さん中心の看護と思っていたことも、在宅療養する対象者の生活を見させていただくと、病院ではいかに医療者優先で物事がすすめられているかということがよく理解できました。在宅という本当の意味で対象者および家族が優先の看護の場では、終末期の方ではなくても、ホスピス・緩和ケアの基本は大いに活かされていると考えました。特に、訪問看護を受け入れてもらえるかどうかの決め手となるコミュニケーション、看護者がいない時でも対象者と家族が自律できるケアの提供という面では、ホスピス・緩和ケアの延長線上にあることが実感できました。

この訪問看護ステーションにおいても、スタッス4名が丁寧に対応してくださり、毎日1時間近くもカンファレンスを持ち意見交換をしていただきました。それらのディスカッションの中からたくさんの学びを得ることができ、感謝の気持ちでいっぱいです。

現在は、元の職場にもどり研修前と同じ仕事についています。今後は、認定審査に合格して、ホスピスケア認定看護師として正式に認定されるように努力したいと思います。職場の上司とも十分に話し合いを持ち、「認定看護師の働き方について一緒に考えながら、より良いものにしていきたい」という言葉をいただけました。しかし、病院の方針として、現在の段階では、ホスピス・緩和ケア病棟を開設する計画はないので、院内コンサルテーション型の緩和ケアチームを視野に入れた活動を展開していきたいと考えています。同時に、各病棟に終末期患者さんが分散している現状においては、院内全体にホスピス・緩和ケアの考え方とその方法が浸透するように、啓発・教育に力を注いでいきたいと思います。また、一般市民の方々にもホスピス・緩和ケアについて正しい理解をしていただくために、病院の広報や市民参加の行事など、機会を見つけて啓発活動をしていきたいと考えています。

 

 

 

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