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1999年、私が学んだこと

 

総合病院 土浦協同病院

松本 俊子

 

受講の動機

 

私は、平成11年12月10日にホスピスケア認定看護師教育課程を無事修了することができました。修了にあたっては、日本看護協会、看護教育・研究センターの先生方をはじめ、外部講師の先生方、実習施設の方々、職場の方々、そして日本財団からの助成など、たくさんの方々の援助があったからこそ実現できたと思っております。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。この場をお借りして御礼申し上げます。

私は現在、総合病院土浦協同病院・茨城県地域がんセンターに勤務しています。私は、茨城県土浦市に生まれてからずっと地元で生活してきました。土浦協同病院付属の看護学校を卒業して、すぐに現在の病院に就職しました。この間、一般・消化器外科病棟、消化器外科・婦人科の悪性腫瘍病棟、がんセンターの外科系診療病棟と、常にがん患者さんとその家族のケアに関わり、無我夢中で15年間が過ぎました。

当院にはホスピス・緩和ケア病棟がないため、終末期の患者さんは治療を受けてきた病棟で最期を迎えることになります。手術や放射線療法・化学療法など、治癒を目的とした治療ができる時期にある患者さんには、満足のいくケアを提供できても、治癒治療の時期を過ぎた患者さんには、適切な緩和ケアが提供できずに悩む毎日が続きました。特に、4年前に茨城県地域がんセンターを開設してからは、勤務病棟が消化器外科・呼吸器外科・腫瘍整形外科のがん診療病棟であるにもかかわらず、緩和ケアの対象患者が増加しています。

開設当時は入院患者の4分の1であった緩和ケア対象者が、現在では3分の1以上になっています。患者さんの中には「末期がんで治療はないと言われたが、つらい症状をなんとかしてほしい。がんセンターに行けば、がんに適切なケアを受けられるのではないか」と、ホスピス・緩和ケアを目的として入院を希望される方も多くなってきました。このような現状から、がんセンターの看護婦を中心に、緩和ケアの学習会組織をつくり、講演会や研修会に参加したり、事例検討会を開いたりと少しずつ勉強を始めました。

独学で勉強を始めて3年が過ぎた頃、「私の勉強しているホスピス・緩和ケアは本当に正しいのだろうか。各病棟で増え続ける緩和ケア対象者に、適切なケアを提供するにはどうしたらいいのだろうか」と自分自身へ問いかける気持ちが強くなり、機会があればホスピス・緩和ケアについて、系統的・専門的に集中して学びたいという欲求に変わっていきました。ちょうどその頃に、日本看護協会のホスピスケア認定看護師教育課程のことを知り、受験する決心をしました。

 

実習の成果

 

入学案内を取り寄せてみてまず驚いたのは、学科目の欄でした。共通科目・専門基礎科目・専門科目・実習と大きく4つに分かれ、その下にまた細かく科目があったのです。その中で「倫理的問題」「家族の援助」「コンサルテーション」「チームアプローチ」「進行がん患者の理解」などは、言葉の意味は分かっていても、これがホスピス・緩和ケアの領域でどのような位置を占めて、どのような内容になるのかの見当がつかない自分を知り愕然としました。

 

 

 

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