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自己の振り返りで得た今後の課題

 

成田 昌代

 

受講の動機

 

ホスピスでの経験が5年を過ぎようとしていた頃、認定看護師教育課程の研修があることを知りました。患者さんからの学びを積み重ね、講演を聞きに行ったり短期間の研修に参加したりする中で、少しずつホスピスでのケアというものを見つけようと努力していました。実践の中での多くの出会いや周囲の支えがあって、ホスピスケアを続けていきたいと考えていたときでもあり、自分には何が足りないのか、何を得たほうが良いのか、考える機会になったと思います。忙しい毎日の中で業務をこなすことで精一杯になり、症例をじっくり振り返ったり考えたりすることを怠っていました。大切にしていかなくてはならない患者さんからの学びを積み重ねることを、あやふやな自信のない言葉で後輩たちに伝えようとしていました。結果、「これでよいのだろうか」という気持ちを残しながら時間が経過していくことになり、自分の看護というものを表現できなくなっていたように思います。

また、病棟の中で指導的な役割に位置しなくてはならないと意識した時、伝えることができないという無力さを感じ、自分の中でこの「これでよいのだろうか」という疑問が大きくなっていったのだと思います。患者さんたちに教わってきた学びを、自分たちの行ってきたケアを、看護を自信を持って自分の言葉で表現し、伝えていけること、それが私に必要なことの一つだと考えました。そのために、自分自身の基礎を固めたいということもありました。認定看護師教育課程のプログラムは、基礎疾患科目からチームアプローチ、看護管理、看護倫理、看護論、緩和ケアの概念など、改めて学びたい、考えたいという項目が多くありました。また、ホスピスケアを実践していく中で、話が聞きたいと思っていた先生や講師の方々の素晴らしさに受講の希望が強くなっていきました。

ホスピスでのケアを始めて、ファイナルギフトという言葉に出会った時、私の看護観は変化したと感じていました。その頃から、今後もホスピスで働いていきたいと感じ始めました。忙しいといって自分をごまかしたり逃げたりするのではなく、看護婦という専門職としての方向性と課題を見つけたり、見つめたりしていきたい。そのために必要な知識・技術を得ること、そこから生まれる自信が自分たちのケアを表現するのに役立ってくれるだろうということ、また自分の気づかなかった方向性を示唆してくれるだろうと考えたことが、研修の受講動機だと思います。また、患者さんのケアだけではなく、スタッフの持つストレスヘのケアに対する視点を学ぶこと、緩和ケアをコ・メディカルを含むチームとして多くの視点から考えていけることなど、たくさんの課題と期待をもって参加することができたと思います。

 

実習の成果

 

5週間の実習は自分の勤めているホスピスと違う経験ができるということで、とても興味深く楽しみにしていました。考えていたより緊張も少なく、日常の業務に参加できたことは、スタッフの方々の温かい支援のおかげだと感謝しています。告知率が100%という緩和ケア病棟であり、インフォームドコンセントのあり方と心理的側面へのケアを学びたいと考えていました。

 

 

 

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