特に一般病棟に勤務している私にとっては、ホスピスケアに関する知識や情報は書物から得ることが多かったと思いますが、自分の中で確実な知識として身につくまでには至らず、また自信もありませんでした。しかし今回の研修で多くの講師の先生から学ぶことができ、考えを深める機会となりました。まだ自分の中で学んだ知識を消化した状態とはいえませんが、今後は職場の中において一人ひとりの患者との関わりを通して生かしていくことができればと考えています。
二つめとしては、看護について考える時間が得られ、改めて看護とは何かという問題の重要性に気づかされたことです。今まで看護をしてきて、看護を理解したつもりで日々のケアを行っていました。しかし、そのことに対して本当に自分は看護していたのだろうかといった疑問が生じ、患者・家族のためにと思って実践していたことが、いつのまにか自分の一人よがりのケアに変化していたり、自己満足に終わっていたかもしれないということに気づかされました。一人ひとりの患者や家族にとっての看護を提供することの重要性を認識しました。これは看護婦にとっては当然のことですが、そのことを実践できているかといえば必ずしもそうとは限りません。この気づきを今後、看護をしていく中でどのように生かしていくかは、私自身の課題の一つであると考えています。
6か月間の研修を終了し、今後どのように生かしていくかを考えた場合、まず自分自身の職場において、ホスピスケアの向上が図れるように働きかけていきたいと思っています。一つは緩和ケアの対象である患者との関わりを通して私自身が役割モデルとなり、身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな側面といった全人的なケアを実践し示していくことで、一般病棟における緩和ケアの在り方を考えていくことができればと思っています。特に職場においては症状コントロールが不十分であり、まずは疼痛コントロールができるように病棟で学習する機会や、医師と話し合う時間を作って理解が深まるようにしていきたいと考えています。同時に精神的な関わり方や家族の援助も十分とはいえず、そのようなケアにも力を入れていきたいと思います。
二つめとしては、病院内においてホスピスケアについて学習したり考える場があるため、そこで自分が得た知識を院内のスタッフに伝えていきたいと考えています。そしてこのような場を積み重ねていきながら、将来的には緩和ケアを考えるチームを作っていくことができればと思っています。緩和ケアにチームアプローチは欠かすことができません。看護婦だけでなく、医師や薬剤師、栄養士といった一般病院で可能な範囲で他職種を加えたチームを作り、院内における緩和ケアの向上を図っていきたいと思っています。
これらのことを継続していくことでスタッフの緩和ケアに対する知識が深まり、緩和ケアの向上が図れるのではないかと思います。それは一般病院であるからこそ、必要なことであると考えているため、今後、努力していきたいと思っています。
謝辞
このたび、日本財団の補助事業により研修を受けることができました。今後、この研修での学びを生かし、ホスピスケアに貢献できるよう努力していきたいと思っています。日本財団のホスピスケアに対するご理解とご支援に対し、心より感謝いたします。