患者と家族のQOLを高める関わりについては、第一に患者の苦痛(疼痛)を緩和することが重要であることを再確認しました。身体的苦痛が強いときや病的精神症状が出現しているときには、患者や家族がどのようにしていきたいかという希望すら見出すことが困難になります。今回は、せん妄を併発した患者に関わる機会がありましたが、患者の疼痛コントロールを図りながら、患者と家族の話を聴くことでお互いの共同目標が持てました。これは、以前から患者が言っている言葉や家族に託していたことなど、家族を含め本音の部分を引き出すことで、終末期であっても外出したいという希望が現実のものとなり、実行できたと考えます。時間が限られている患者と家族に対しQOLを高めるには、患者と家族の目標の明確化とその人らしさを受け入れ、現実のものとするために、多くの他職種の協力が必要になることを学びました。
上記にもあげましたが、終末期の患者と家族はさまざまな苦痛を持っており、他職種との協力が必要となります。関わりを有効にするためにも成熟したチームが必要とされると考えます。PCU病棟のチームカンファレンスで学んだことは、看護婦だけのチームではなく、医師や薬剤師、SMWや音楽療法士を含めたチームでお互いの情報や意見を提供し、患者と家族を全体的にサポートしていました。それぞれの仕事の役割を各自が自覚し、自己の限界を認め尊重しながらコミュニケーションを図っていました。私自身も、受け持ち患者の家族の問題や外出時の活用資源について、および訪問看護婦の必要性の検討結果についてMSWとコンタクトを取り、アプローチしていったことは評価できると考えます。誰のための治療なのか、看護なのか、医師も看護婦も他職種の人々もそれをよく理解し、患者と家族の自由と選択の幅を広げている場であると感じました。
<訪問看護>
実習場所:東札幌病院訪問看護ステーション
訪問看護は、実習の最後の週に行かせていただきました。私にとっては初めてと言ってよい体験でしたが、患者や家族が生き生きと生活をしていました。患者が自分の家でその人らしく生活するということは、こんなにも生きる力を与えるものなのかと感動しました。また、そのために訪問看護婦は患者の病状だけではなく、あらゆる可能性をアセスメントし、患者と家族が生活していける方法で指導していたことは、専門性が高く一人ひとりの看護婦の責任や能力が求められると感じました。
体験してみないとわからないことばかりでしたが、今までの自施設での自己の関わりとしても反省すべき点が多くあると思いました。例えば、訪問看護を依頼する時の情報が表面的なものであったり、依頼すればそれで自分達の役割が終わりだと考えていました。また、訪問看護に対する情報や知識を持っていなかったり、患者や家族に対して訪問看護についての可能性を検討していなかったりと、私自身の行動として、患者と家族の選択の幅を広げていなかったと感じました。
研修を通して学んだこと、今後の展望
受講の動機でも述べましたが、その人らしく生きるためにはどのような関わりをしていけばよいのだろうかという手がかりが、今回の研修で学ぶことができました。受講するまでは、いろいろと不安なこともありましたが、ここに来てよかったという気持ちが、私の自信にもつながったと思います。今まで「その人らしく」という言葉に対しても、どのように自分の言葉で説明してよいかわかりませんでしたが、これからは表現できていくと考えます。
現在は病棟に配属されている状況であり、まずは、毎日のアセスメントや計画の充実を図り、これらの重要性を広めたいと考えます。