専門科目では、症状マネージメントに関する知識は緩和ケアに携わるものとして当然もち合わせていかなければならないことであり、今後、医学の発展とともにどんどん進歩していくものと思われます。今回得た知識で満足するのではなく、新しい情報に常に敏感でいなければならないと感じました。各分野において専門としている先生方に講義を受け、行き詰まってしまったときに相談できる術を知り、未熟な自分にとってとても心強い味方を得ることができました。
さらに、知識として得た症状マネージメントを活用できるように自分のものにしていくと同時に、知らない者へ上手に伝えていく「伝え方」というものも、もち合わせることが必要と感じています。症状マネージメントについて知っていてもそれを患者さんに戻せなければ何もなりません。実際問題として、多くの症状を緩和させる手段は薬物に頼らなければならず、その効果、副作用について看護者として十分に知り得ていなければ、使用に対する判断も評価もできません。
また、薬剤の使用に関しては医師の力が必要不可欠なものとなります。おそらく患者さんの苦痛を緩和させたいと思う気持ちは、医師も看護婦も同じことでしょう。私は今まで、あまり医師とコミュニケーションをもたずに一方的に自分の考えを押し通していたように思いました。医師とコミュニケーションを取り、目の前で苦痛にさらされている患者さんの症状をどのように緩和していくか、一緒に検討していくことが必要なのです。お互いに相手のことを尊重していかなければなりません。
さらに薬物に頼るばかりでなく、看護独自の緩和ケアについて改めて見直すこともできました。患者さんの全体像をきちんと捉え、病態生理から評価していくことの重要性を学び、そして薬物を適切に使用すると同時に患者さんの側にいることや補助的療法の介入など看護婦だからできることに十分関わっていくことで、苦痛の緩和につながっていくのだと思っています。タッチングやマッサージを受け、私はとても心地よい時を得ました。自分が窮地に立たされたときに話せる人がいたことで救われたことも多々あります。おそらく、患者さんが求めるものも同じなのではないでしょうか。看護の独自性を十分に出していけるようでありたいと思っています。
ロールプレイを行うことにより、普段味わうことのない患者体験をし、自分の看護を振り返ることができたことはとても意味のあるものでした。はじめは恥ずかしさもあって実際のところあまりやりたくなかったのですが、体験すると、客観的に自分も相手も見ることができました。このような経験はやはりこのコースならではのものと感じます。ロールプレイが必要といわれていても、短期のセミナーでは全員が同じように体験することは難しく、また相手を知らないために構えすぎてしまうことが多いのではないでしょうか。
遺言を書き、大切なものをなくすという擬似体験をし、今まで「患者さんの立場に立って看護を行う」と言いつつもそうでなかったことを反省しました。そして、まだまだ十分にはわかり得ないと思いました。なぜなら、やはり私は患者ではないからなのです。今後さらに患者さんに関わることで、少しでも相手に近づいた看護ができるように日々を学びの場としていきたいと感じています。
研修での学び
実習は福岡の亀山栄光病院にお世話になりました。今まで、宗教家の関わっている病院に行ったことがなかったので、どのように患者さんに対応しているのかとても興味のあるところでした。自分は特に宗教に関心を寄せていなかったので、宗教を持たないといけないのだろうかという不安もありました。実際、チャプレンが患者さんと話している内容は宗教的な関わりばかりでなく、「相手の生きてきた過程を認めてあげる」という姿勢が見え、そこから学ぶものは大きく、医師や看護婦と違う立場の人が関わることで精神的、社会的、スピリチュアルな苦痛の緩和に大きくつながるとも思いました。