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「ホスピスケア」を学んで

 

宗教法人 救世軍清瀬病院

倉持 雅代

 

受講の動機

 

近年、緩和医療への関心が高まりつつあり、私自身もホスピスに関心を寄せ、自分なりに情報を集め、学んできました。そして患者さんの苦痛が緩和できるような看護を提供していきたいと願っていました。看護者として同じように思う者は多く、互いの持つ知識を出し合いながら頑張ってきたつもりでした。しかし、残念ながら従来の積極的治療にとらわれる考えも多く、どこから緩和医療を積極的に行っていくべきか、緩和医療とは一体何か、ホスピスとは何か、自分でもよくわからなくなってしまいました。ただ何となく日々の業務に流されていく自分を感じ、看護婦としての無力感を味わい、目標が見えなくなっていました。そんなときに緩和ケアを目指す看護婦は6か月くらいの養成が必要という記事を目にしました。緩和ケアが必要と思っていてもその根拠が十分に伝えられず、自分も本当はよくわかっていないから相手に伝えることができないのではないかと思いました。看護婦として働きつづけ、それなりのキャリアは積んできました。しかしここで立ち止まり、原点に戻ってみるのも必要と感じはじめました。一息ついて学ぶことができれば、自分が必要としていることは何なのか見出すことができるのではないかと考え、このコースを受講しました。

 

実習の成果

 

入学当初の共通科目では、他のコースの人と交わることにより偏った見方を補正し、改めてホスピスケアの必要性を感じることができました。ホスピスという範囲にこだわり、考え方が偏ってしまいがちになる恐れを感じていたので、ホスピスについてよく知らない医療者と関わることで、人に「ホスピスとは」と伝えることを学び、急性期の対応にうとくなってしまいがちだった自分を見直すことができる良い機会となりました。また、このような共通科目がなければ他のコースの人との交流を持つこともできなかったことでしょう。

今まで管理者だけがわかっていればよいことで、自分には関係ないと思え、あまり関心をもてなかった倫理や看護管理、リーダーシップの講義も、実は今までの看護場面において頭の片隅にあり、看護を行う上で身に付けておかなければならないことであったと改めて認識しました。上に立つ人だから必要というのではなく、一緒に働くメンバーの一員として知っていなくてはならないことでした。対人関係では、特に医師、患者、看護婦との関係についてしぼった内容でしたが、私の中ではやはり医師との協働の問題もこの研修に参加するにあたり大きなきっかけとなっていたことでもあり、他者の話を聞き、教員の講義を受けることで、どのように関わっていくかヒントを得られたように思います。

また、医療関係者との協働問題だけでなく、個人的な他者との関係性についても振り返り、見つめなおしていく機会となりました。今後、認定看護師として活動していくにあたり、これらは常に念頭に置いていかなければ自分で自分の立場を窮地に追いやることとなり、十分な活動ができないままになってしまうことになりかねないと感じています。

 

 

 

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