医療が病気を治すという考え方だけにとどまらず、生を充実させるという考え方への広がりを見せている現在、看護としてのあり方、人として遇するということをもう一度考え直すよい機会となりました。
研修全体を通してさまざまな知識や気づきを得て、ある程度自分の所属するチームや組織についても客観的に見られるようになりました。私やチームスタッフは、これまでにも患者のためにと一生懸命やってきました。しかし、一生懸命やっているにもかかわらずその成果や結果が得られず、そこからなかなか抜け出せないでいる現状がありました。その理由を考えると明確な目標がなく、目標が統一されていないこと、方法が曖昧であることなどが挙げられます。その結果、継続性のないケアに終わったり、患者に負担を与えるばかりのケアになっていたりしていたのではないかと反省しています。
ホスピスでは理念のもとに病棟が運営され、患者の人権が守られた医療を提供するためにチームスタッフが有効に機能していました。患者にかかわる職種は、今後さらに多様化していくことが予想されます。チームアプローチという視点から見ても理念や目標は不可欠であり、チームを構成する職種の領域を知ることは重要です。そのためにもこれからの看護は、医師とは別の立場から患者の健康に寄与する独立した専門職として、患者の人権を守るために看護側から見た見解を他職種と同等に提案し、論じていかなければならないと考えています。まずは患者に一番身近な医療者として患者を支え、自分の得た情報と患者の意向に基づいた判断を自信を持って発言することだと思います。そして他職種とディスカッションして患者の意向にあった最善の方法を模索していけるように、ゆくゆくは看護婦一人ひとりが成長していくことが理想であると考えています。そうすることで、さらに患者の人権を守ることができる医療の提供につながるのではないかと考えています。
人権、患者の権利など、当然のように語られたり考えられたりすることが実際には行われていない現実をあらためて感じ、自分自身への戒めと課題にすることができました。今後はこの研修で得た学びを活かし、現時点で考える理想に近づいていけるように日々努力していきたいと思います。
最後に、この研修をバックアップしてくださった日本財団に感謝申し上げます。