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通気および蒸気回収

 

メタノール補給ステーションの通気および蒸気回収システムはガソリン用システムとほぼ同一であり、ステージIとステージIIの両方の蒸気回収から成る。ステージIシステムは燃料貯蔵タンクの充填中に放散する蒸気を回収し、きらにステージIIシステムでは自動車への補給中にディスペンサーから放出きれる蒸気を回収される。

二点ステージI蒸気回収システムでは貯蔵タンクに対して2本のパイプを用い、1本は製品燃料を運ぶためのものであり、もう1本は置換された蒸気を配送トラックに戻すためのものである。これらシステムでは過充填のような万一の事態に流れを制限するように、蒸気還流ラインの終端においてタンク中に浮揚球バルブを装着する。これは配送運転者にタンク充填を中断するための時間的猶予を与える。同軸型の蒸気回収システムはタンクからの立ち上がりパイプ1本だけで燃料供給と蒸気還流とを可能にするが、そのようなシステム用にメタノール適合する構成部品は現時点では存在しない。

メタノール貯蔵タンクから大気中への通気パイプにおいては、タンク充填中に蒸気放散を防ぐために圧力─真空通気キャップを要する。さらに燃焼防止あるいは爆発防止装置が、ディスペンサーの蒸気回収パイプおよびタンク通気ラインの両方に装着されなければならない。これら受動装置は外部から火種がタンク内の蒸気充満空間に侵入しようとすることに対しての防御作用を行う。

 

ポンプ、ディスペンサー、ノズル、ホース

 

メタノールを貯蔵タンクからディスペンサーに移送するポンプは、貯蔵タンク中あるいはディスペンサー中に配置することができる。浸漬型タービンポンプは貯蔵タンク中に設置され、これが業界の標準となりつつある。そのタイプのポンプは複数のディスペンサーに燃料を供給でき、吸引ポンプよりも一般的に性能が優れ、より少ない消費エネルギーで作動するという利点を有する。ポンプとディスペンサーとの間における燃料ライン中の残存圧力は、ポンプが作動していない時にも、製品燃料ライン中を監視し漏洩信号を発する機械的漏洩検出器の利用を可能としている。

石油製品用に使用されるディスペンサーとノズルにはアルミニウム部品が多用されている。メタノール用に供するにはこれらを鋼製の部品と交換するか、あるいは非電解ニッケルメッキを施してアルミニウム部品を腐食に対して保護する必要がある。また、ディスペンサーには最終的に1μm粒子の95%を除去できる性能の燃料フィルターの装着を要する。ディスペンサーホースは燃料液体および蒸気ラインの両方がメタノールヘの適合を確実なものとするように、特殊なポリマーによる裏打ちと合成ゴムで構成される。

 

 

 

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