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6.1.2 摂取

吸入被曝は人体への侵人の最も普通のルートである;しかしながら、摂取は最も深刻な被曝のルートを代表する。メタノールの摂取被曝は通常意図的な飲用、サイフォンによる意図しない飲用、あるいは潜在的な結果を知らないことによる意図しない飲用の結果として発生する。摂取による毒性の効果は、吸入に関して既に述べたのと同じパターンを示す。毒性効果に関する摂取の許容度は6から18mlという小さいものである(USDOE、1991年;Machiele、1989年)。摂取者のメタノール代謝能力に個人差があるため、これらの毒性レベルには広い開きがある。

観察された、摂取による人の致死量は15から250グラムの範囲である(Wimerその他、1983年)。しかしながら、文献に現われた資料化された事例はごくわずかであり、しかもほとんどすべての事例が1920年以前のものである。少ない摂取量 (30mlあるいはそれ以下)でのメタノールの毒性に関する医学文献の中の、実際の事例の証拠を検証し、Kopinski(1993年)は実際のメタノール摂取の事例に関して出版された文献は、30ml(約24グラム)以下という成人の最低致死量を支持していないと結論づけている。これらの事例を分析するにあたっての不確実な領域には、摂取された飲料の中の他の成分との相乗効果や信頼のおける量を推定することの困難さなどがある。動物によるメタノール摂取に関するLD50(すなわち、テストした集団の50%に影響を与える致死量)のデータ・ポイントが表6-3に示されている。

表6-3 動物実験によるメタンノールとベンゼンの致死量

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a MSDS、1996年。b Exxon、1991年。c MADS、1987年

 

6.1.3 皮灯の被曝

人が自動車燃料と接触することに関しては多くの可能な例がある。一般的に溶剤の漏出や使用を通じての被曝は肌に軽微な影響を与えるにとどまる(脱脂肪や軽い皮膚炎)。メタノールは1分間に0.2mg/cm2の速さで容易に皮膚層に吸着する(Machiel、1988年)。度重なる被曝は湿疹、赤み、および鱗鮮を生じさせる。既に述べたようにメタノールのより深刻な毒性の効果は、過度に吸収した場合の脅威だけである。このように瞬間的な接触は大きな問題ではない(USEPA、1994年)。

 

 

 

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