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1997年にBoulderのコロラド大学は、固有のバクテリアを利用した生物学的プロセスによる硝酸塩の除去のためのパイロット・プロジェクトを完成した(Scott、1997年)。そのパイロット・プラントは硝酸塩を窒素に還元するバクテリアの層を含む塔から構成される。この単純で維持の簡単なシステムは、硝酸塩に対する連邦および州の飲料水基準に適合する流水を製造した。メタノールも同様の方法により除去可能である。

Uptonその他(1993年)は、第3固体除去砂フィルターと脱窒素装置を組み合わせた排水処理プロセスを評価した。有機物を必要とするヘテロトロピックバクテリアの成長と細胞物質代謝のために必要な炭素資源としてメタノールが利用された。理論的に、1グラムの硝酸塩(NO3-)を窒素ガスに還元するためには1.9グラムのメタノールを必要とする;しかしながら、1,000m3/dのフィルターをもつパイロット研究では、1グラムの硝酸塩に対し約4.4グラムのメタノールが消費されたことが示された。

飲料水の供給者は処理された流水の中での微生物の活動の可能性のため、生物学的活性フィルターを利用することにしばしば消極的である。連邦法は地下水の質は考慮せず、飲料水として使用される地下水のすべてに消毒を義務付けている。生物学的活性フィルター処理の後の塩素やオゾンによる消毒は処理後の水の中の微生物のレベルに関する供給者の懸念を減らすだろう。この処理の選択肢は概念上は穏当なコストで実現可能であるにもかかわらず、飲料水の処理における生物学的プロセスの固右の制約のために、水道事業者の側に抵抗が予想される。この結果、飲料水からメタノールを除去するための生物学的活性フィルターの利用は制限される可能性が高い。

 

5.8 結論

 

結論として、有機成分の除去に利用されている在来の飲料水処理技術(曝気および活性炭素)はメタノールの除去には効果的でない。高等酸化プロセスはメタノール処理に有効であると証明されたがコスト的に難しいとみられ、また現場毎に分析する必要がある。その代わりに生物学的活性フィルターについては、この技術が水の供給者が処理後の水の質を懸念することで制限を受けるにもかかわらず、飲料水からメタノールを除去するためのコスト効率のいい技術であることが証明された。メタノールは飲料水の水源地における汚染物質として報告きれていないため、入手できる野外現場の資料は極めて少ない。飲料水に適用きれるメタノール除去のための有望な技術のほとんどは、別々かあるいは組み合わせの形をとるにせよ、生物学的処理と高等酸化の形をとるだろう。

 

 

 

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