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5.3 曝気

 

水から汚染物質を除去するための曝気の効果は、その汚染物質のHenryの定数の直接の機能である。Henryの定数が高くなるにつれ、汚染物質は水からより容易に除去される。通常、0.005(20℃)以下のごく小さなHenryの定数を持つ化学物質は曝気による除去に不適当である(Roberts、1995年)。結果的に、在来の曝気は飲料水からメタノール(H[-]<0.00011)を除去するために使用することができない。しかしながら水温の上昇はHenryの定数を高め、メタノールの除去ためにストリッピングを利用することを可能にするだろう。蒸気ストリッピングとして知られているこのプロセスは産業排水からアルコールを除去するために使用されており、飲料水からメタノールを除去するための使用を考えることができる。しかしながら、水温を10℃から40℃に上昇させるために要する費用がかさみ(>$5.00/1,000ガロン)、飲料水からメタノールを除去するためのこの技術の受入可能性と実現可能性を制限する恐れがある。

 

5.4 活性炭素

 

水から汚染物質を除去するための活性炭素の効果はその汚染物質の土壌/水の分配係数(Kd)の直接関数である。すでに述べたように、メタノールの土壌/水の分配係数(Kd)は、その高い極性とそれに起因する高い溶解度のため非常に低いものとなっている。このためメタノールは水中で粒状の活性炭素(GAC)あるいは他の吸着物に強く吸着することはない。吸着の効果がないことはまたメタノールに関するFreundlich等温定数の高さで実証きれている。メタノールに関して何らかの等温線を求めることは不可能だが、エタノールとアセトンに関する等温線がメタノールの吸着性に対する代替物となりうる。エタノールとアセトンに関するFreundlich等温定数は0.0から14[mg/g(L/mg)^1/n]の範囲にある(Crittendenその他、1997年)。吸着性のいいべンゼン(等温定数は〜20から117の範囲[mg/g(L/mg)^1/n])と比較し、エタノールとアセトンは非常に小さい平衡吸着係数を持つ(Crittendenその他、1997年)。このように粒状の活性炭素のような吸着プロセスは、水からメタノールを除去するための適用にあたって制限がある。

 

5.5 高等酸化

 

水から汚染物質を除去するための高等酸化の効果を制御する因子には、酸化プロセスの種類、水質、接触時間および汚染物質の酸化能力が含まれる。高等酸化処理は水から容易に揮発せず(H<0.005[-])、また炭素に容易に吸若しないメタノールのような化学物質にとって最も有望なものとなっている。高等酸化プロセス(AOP)の主要な販売元であるCalgon社は、飲料水の中のメタノール処理は達成可能であるが、メタノール還元に伴う電気エネルギーの消費(EE/O)値は大きく、このため実現可能性は流入した濃度と水質に応じて変化することを確認した(Reko、1998年)。この販売元はもし流入したメタノールの濃度が100ppm、1,000ppm、10,000ppmであれば、それに対応する電気エネルギーの消費(EE/Os)はそれぞれ20,100、500であると述べている。

 

 

 

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