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5.0 除去と処理

 

5.1 メタノールの除去

 

第1章で検討きれた漏洩シナリオの結果として、土中へのメタノールの漏洩の後、もしその漏出がリスクの高い地域であれば(すなわち、潜在的な受容体が近くにある)、除去が求められよう。メタノールは第3章で述べたように急速にバイオ分解される。そしてその理由から、ほとんどの土壌、地下水および地表水のシナリオにおいて、自然による希釈化が効果的かつ安価な除去法と考えられる。しかしながら、もしメタノール・プルームがガソリン・プルームと混合したら、メタノールの急速なバイオ分解は周囲の土壌や地下水からガソリンのバイオ分解のために必要な電子受容体や栄養素を奪ってしまう可能性がある。このため、すべての汚染成分に対する自然による希釈化を成功させるには、酸素や栄養素或いは他の改良材を追加することによって、他のガソリン成分のバイオ分解を促進するため自然環境に膨らみを持たせることが必要である。

もしメタノールが微生物の活動が不活発な土中環境や深い地下水の中に漏洩したとすれば、漏洩したメタノールを完全に分解するのに十分な微生物の活動が存在しないかもしれない。結果的に代わりの除去方法が求められる。そのような状況の下ではメタノールの高い蒸気圧に鑑み、土壌蒸気を抽出すれば土壌からすべての残存メタノールを効果的に除ますることが出来よう。いったん土中から抽出されれば、そのメタノール蒸気は蒸気媒相バイオフィルターを使いバイオ分解される。要約すれば、土壌と地下水からのメタノールの除去はその急速なバイオ分解という傾向のため、克服困難な技術上の挑戦が持ち上がるとは考えられない。

 

5.2 飲料水の処理の促進

 

バイオ分解速度がその急速なため、メタノールが高いレベルのまま地下水の中に残留することはありえない一方で、飲料水の水源の近くでの純粋メタノールの漏洩は水供給資源に影響を与える可能性がある。いくつかのガソリン添加物と異なり、メタノールの味覚と臭いの許容濃度は大気中で10ppmから20,000ppmと高い範囲にある(USEPA、1994年)。その代わりに、なんらかの毒性の兆候が現れるためには、飲料水の濃度はほぼ9,200ppmを超える必要があるだろう(Machiele、1989年)。入手された地下水の測定と地下水へのメタノールの漏洩に関して推定された「最悪の事態のシナリオ」に基づけば、メタノールの発生源が水源から十分な距離があると仮定すれば、メタノールの濃度が飲料水の水源の中で毒性レベルを超える可能性は極めて小さい。同様に米国エネルギー省は飲料水における毒性汚染(1,000ppm以上の濃度と定義されている)の可能性の低さについて述べた報告書を発表した(USDOE、1991年)。

高濃度のメタノールを含む飲料水の水源は、それが公衆に供給きれる前に処理される必要があるだろう。処理方法としていくつかの選択肢がある:曝気、活性炭素、高等酸化、膜によるろ過、あるいは生物学的活性フィルター。これら個々の処理技術は以下で簡単に述べられる。

 

 

 

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