日本財団 図書館


4.2.3 色彩

メタノールはオレンジ色をしたガソリンと比ベ比較的無色の液体である。メタノールをガソリンや他の液体と視覚的に区別するために、色彩の添加物がその広範な利用のために要求されるかもしれない。

日本人の研究者により1994年に行われた研究で、食品添加物のAcid Blue 9が1ppmの濃度でメタノールに適切かつ識別できる色彩を明らかに与えることが確認された(TakadaおよびKasamatsu、1998年)。この研究では純粋メタノールを他の液体から区別し、メタノールに染料を加えることによる潜在的な性能への影響を最小限にすべく、23種の染料が評価された。染料は健康への影響、品質の低下、性能への影響およびコストと入手可能性を含む経済要素に関するテストに基づき評価された(TakadaおよびKasamatsu、1998年)。

Acid Blue 9は通常、非毒性の食品染料として使用されている。これはまた比較的不活性で他の原料と化学反応を起こさない。しかしながら、燃料電池自動車の中でのAcid Blue 9の反応はテストされなかった。Acid Blue 9に関する特定の化学的および物理的パラメーターは入手不可能である。しかしながら、いくつかの一般的な特性が評価報告書から得られた(表4-3参照)。

表4-3 色彩添加物の化学的および物理的特性の抜粋

145-1.gif

注:UNK─不明あるいは利用できない情報

資料:MSDS、Macfarlan Smith データ・シート

入手できる化学的および物理的な化合物の情報が制限きれているため、Acid Blue 9の実際の消滅と移動は評価できなかった。

 

4.3 結論

 

メタノール燃料に使用される可能性のあるいくつかの有力な添加物があるが、これらの添加物の環境中での消滅と移動はよく理解されていない。これは主にこれらの添加物の特許商品という性格の結果であり、またその複雑な化学構造の結果である。将来におけるメタノールの予想される広範な利用とこれら、あるいは他の添加物の可能性のある広範な利用に鑑み、有力な添加物の消滅と移動に関する詳細な評価がなされるべきである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION