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ビトレックスは10ppbで検知され、50ppb以上の濃度ではきわめて苦い。ビトレックスの普通の適用は6ppmから100ppmの範囲である。匿名調査の結果、1ppmのビトレックスの濃度で子供による洗剤の摂取を75%以上減らすことができたとされている。ビトレックスの適正な量は事例毎に特定され、個々の製品の粘度および既存の味覚に左右される。暫定的な推定によれば、M100の中に容量で10ppmのビトレックスを加えれば、メタノールの摂取を防止するに十分とみられている。ビトレックスに関する化学的および物理的特性の抜粋が表4-2に示されている。

表4-2 苦味添加物の化学的および物理的特性の抜粋

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注:UNK─不明あるいは利用できない情報

資料:MSDS、Macfarlan Sithデータ・シート

Macfarlan Smith販売会社による材質安全データ・シートとビトレックス情報シートによれば、ビトレックスは概して2年間の間は中性なpH値で安定している(Bitrex、1998年)。酸性の状況でビトレックスの変性は観察されていないが、アルカリの状況では水酸化塩に変性する。苦味の質は溶液の中に残留するデナトニウムの陽イオンにより与えられるため、化学的あるいは物理的変化はビトレックスの効果に影響しないだろう。

メタノールや水のような溶剤の中のビトレックスの溶解度は、その極性に帰することができる;反対にビトレックスは石油をべースにした溶剤の中では比較的溶けにくい。ビトレックスの溶解度とオクタノール─水分配係数は、メタノールより水の中の方が溶けにくいことを示している。環境、とりわけバイオ分解能力、遅れおよびバイオ蓄積におけるビトレックスの消滅と移動はよく理解されていない。しかしながら、ビトレックスの生産者は研究室の条件と約20℃の温度から得られたバイオ分解の半減期は約45日と報告している(Bitrex、1998年)。

 

 

 

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