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3.2.2.3 バイオ蓄積

燃料の炭化水素といくつかの添加物のバイオ蓄積が大規模に研究された(たとえば、Braultその他、1994年)。さまざまな研究で示されているように、淡水魚や無脊椎動物においては有機汚染物質の摂取と除去は鰓膜を通じて行われ、その効率は血液中の蛋白質と化合物の疎水性に係っている。水生生物におけるバイオ蓄積はバイオ濃度係数(BCF)で表現される(Streit、1994年)。我々の知る限り、メタノールのバイオ蓄積に関する研究は報告されていない。しかしながら、オクタノル─水係数(Kow)やバイオ蓄積係数および他の酸化物が報告された(表3-3参照)。オクタノル─水係数はバイオ蓄積の可能性の指標として利用され、疎水性の表示としても広く利用されている(Mackayその他、1992年)。結論として、メタノールはバイオ蓄積の程度において、エタノールよりわずかに低くべンゼンやガソリンの中の他の疎水性の高いほとんどの成分よりは明らかに低いとみられる。メタノール燃料の漏洩によるバイオ蓄積の結果として、ごくわずかの量のメタノールが哺乳動物に入ったとしても、急速に物質代謝が行われ、長期にわたる影響は残らない。

表3-3 Octanol─水係数とバイオ濃度因子の比較数値

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(1) Mackay、その他、1992年;(2) Zogorskiその他、1997年

(3) RSP、1994年

 

3.2.2.4 揮発

メタノールの空気/水の分配係数は低く、バイオ分解の速度は揮発の速度を超える可能性が高いため、揮発はメタノールに関する消滅の有力な要因ではない。環境中でメタノールはエタノールと類似した特性を持ち、このため地表水からのエタノールの揮発速度がメタノールの相対的揮発速度を示すために利用することができる。最近の研究において、いくつかの酸化物とガソリン成分に関する揮発速度が、さまざまな湖の状況に対するその化学的特性に基づいて計算された(Malcolm Pirnie、1998年)。典型的なカルフォルニア州の湖の状況(温度=20℃;風速>5mph;epilimnion〜20フィート)の下で、エタノールはBTEX化合物よりほぼ5倍遅い速度で揮発することが予測された。これらの状況の下で、バイオ反応を無視すれば、ベンゼンの半減期は約9日である。一方でエタノールの半減期は約40日である。

 

 

 

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