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3.1.2.3 地下水からの揮発と土壌からの蒸発

メタノールの高い溶解度と低いHenryの定数のため、揮発あるいはガス化は、地下水からのメタノールの消滅に関して最小限の効果しか期待できない。しかしながら、土壌においてはメタノールは土壌の水分が少ない状況では残りの媒体や発生区域から蒸発するだろう(Environ、1996年)。メタノールの高い蒸気圧のため、蒸発は通常ガソリンよりM100燃料の方でより急速に進行する。これにより蒸気媒体や拡散により生じた移動のため、メタノールは発生源から遠くに移動することとなる。土中でメタノールが周りに分散する可能性があるにもかかわらず、分析用の土壌のサンプルはM85の漏出の近辺で検知可能なレベルのメタノールを含まないことがしばしばある。これはメタノールの蒸気媒体での微生物の分解による大規模な消滅によるものと思われる(Beck、1991年)。

 

3.2 地表水

 

3.2.1 地表水の中のメタノールの発生源

地表水の中のメタノールの最も有力な潜在的発生源は、シナリオ2で述べられたような事故による漏洩や輸送中の重大な過失により、純粋メタノールが地表水に直接漏出することである。メタノールの不特定な発生源には大気からの沈殿も含まれるが、すでに述べたように、これは重要なものとはみなされていない。

3.2.2 地表水の中のメタノールの消滅

地表水からのメタノールの消滅に寄与するプロセスにはバイオ分解、非バイオ分解、揮発およびバイオ蓄積が含まれる。地下水と同様に、地表水の中の有力な消滅メカニズムはバイオ分解と考えられている。地表水への漏洩の近辺におけるメタノール濃度は、移流や分散および拡散により急速に低下する。メタノールの水への無限の溶解度のため、開放された水へのM100の漏出は、シナリオ2で述べたように、同様のガソリンの漏出よりはるかに速い速度で非毒性のレベル(<1%)に消散するだろう。消散の速度は水の環境に混合した量に直接比例する。風により作られた波と結びついた潮の流れも、大規模なメタノールの漏出を毒性許容値以下のレベルに急速に消散させるであろう。地表水に混合する汚染の速度に関係する波の活動の効果が、レクリエーション用の乗物からのガソリン化合物の漏出に関して、大規模に測定された(Malcolm Pirnie、1998年)。測定されたすべての事例において、ガソリン化合物は地表水の上層に急速に混合した;メタノールはほとんどのガソリン化合物より水の中でさらによく溶け、結果的にさらに急速に混合するだろう。

 

 

 

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