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メタノールはまたメタノトロフィック(Methanotrophic)生物により利用きれるメタン酸化プロセスの中間体でもある(図3-1参照);メタノトロフィックは自然界に広く存在している。メタノトロフィックはメタン一酸化酵素によりメタンをメタノールに酸化させる。メタノールはその後メタノール脱水素酵素により酸化してホルムアルデヒドになる(Lehningerその他、1993年;Smeraldiその他、1994年)。このメタノール脱水素酵素はその後、ひとつはアミノ酸セリーンの形成を含むプロセスと、もうひとつは糖の合成を含むプロセスの2つのプロセスのいずれかの活動により細胞質に吸収される。(Prescottその他、1996年)。

表3-1 有機物の微生物物質代謝に含まれる好気性および嫌気性呼吸のいくつかの種類

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SulflitaおよびSewell(1991年)

3.1.2.1.2 電子受容体の利用

微生物は電子供与体(この場合はメタノール)から電子受容体に電子を移すことでエネルギーを獲得する。電子受容体は電子供与体より低い酸化状態にある化合物であり、それには酸素分子、硝酸塩、(酸化)鉄(III)、硫酸塩および二酸化炭素が含まれる。微生物が有機化合物を酸化する最もエネルギー効率のいいメカニズムは好気性物質代謝である(すなわち電子受容体としての酸素の利用) (表3-1参照)。

酸素の存在は真正好気性微生物にとって必須なものである。任意好気性および嫌気性微生物は酸素が利用できない場合は他の電子受容体を利用することができる。酸素は雨水の浸透の結果として地下水が作られる場所の中や周囲に常に存在する。酸素が利用できない場合には以下の電子受容体が、示された順番で微生物により優先的に利用される:硝酸塩>(酸化)鉄(III)>硫酸塩>二酸化炭素(BrockおよびMadigan、1991年)。土中環境の中の酸化還元電位(すなわち利用可能な電子受容体)は場所に大きく左右される。メタノール・バイオ分解は好気性(電子受容体としての酸素)および嫌気性(酸素以外のすべての電子受容体)の状況で起きることが示された。メタノールの好気性バイオ分解はメタノール分解生物にとって最もエネルギー効率のいいメカニズムでありメタノールの鉱化に導く。任意嫌気性の硫酸塩還元バクテリアによる、電子受容体としての硝酸塩を持ったメタノールにおける微生物の生育が、メタノール物質代謝の2番目にエネルギー効率のいい方法である(Metcalf and Eddy、Inc、1979年)。

 

 

 

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