日本財団 図書館


3.1.2.1 バイオ分解

一般的に、土中の水や土壌のシステムにおける燃料炭化水素の消滅をつかさどることにおいて、微生物が主要な役割を演じることが知られている(NRC、1993年)。環境条件が微生物の活動に適切であれば、好気性の微生物群は有機汚染物質を酸化し、反応の過程で酸素を消費する。いったん一定区域において好気性の呼吸のための酸素必要量が枯渇すれば、嫌気性の環境が作られ、嫌気性のバイオ分解が進行する。メタノールは土中で好気および嫌気の条件の下で容易にバイオ分解されることが科学文献の中で確立されているが、メタノールがうまくバイオ分解されるためには3つの要素が求められる:固有のメタノール分解微生物群の存在、電子受容体および栄養素の、存在および適正なpHおよび温度の水準。

3.1.2.1.1 固有のメタノール分解微生物の存在

メタノールは複合的な芳香族炭化水素のバイオ分解を行う嫌気性の生物により自然界において広く生産される(HeiJthuijsenおよびHansen、1990年;Oremlandその他、1982年)。結果としてメタノール分子は自然界のいたるところに存在している。さらに、水にきわめて溶けやすいというメタノールの特性のため、メタノール分子はこれを炭素とエネルギーの原料として利用することができる微生物に生物学的に利用される。このため、環境中のメタノール分解生物の広範な存在が考えられている(BrockおよびMadigan、1991年)。

メタノール酸化のシステム:メタノールのような単一炭素化合物だけを利用して生育できるメチロトロフス(Methylotrophs)のような生物が、好気性およびミクロ好気性(低い酸素)の条件の下で、その唯一の炭素とエネルギーの原料としてメタンとメタノールの両方を利用することが知られている(BrockおよびMadigan、1991年)。メチロトロフスはC1化合物のバクテリア物質代謝において商業上の関心を集めている(HeijthuijsenおよびHanseiK、1990年;Komagata、1990年)。結果的に、数多くのメタノールを利用するバクテリアが広範な自然界の資源の中から分離され、これら分離されたものの大半は好気性のバクテリアとして認定されている(Komagata、1990年)。

132-1.gif

図3-1 メタノトロフィック微生物のメタン酸化プロセス(Chang、1995年)から抜粋

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION