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3.0 環境中のメタノール消滅と移動

 

メタノールの化学的および物理的特性は第1章および第2章で述べられ表1-3に要約されている。以下の3つの項では3つのシナリオで示したように漏洩に続くメタノールの消滅と移動について検討する。つまり:1)タンクローリーや鉄道車両からの土壌あるいは地下水への漏出;2)地表水への艀からの漏出;および3)土壌および地下水への地下貯蔵タンクからの漏洩。それぞれの項では個別の環境区分へのメタノールの発生源と、その区分からの続いて起きる損失メカニズムについてさらに触れることとする。

 

3.1 土壌と地下水への漏洩

 

米国においては、水のシステムや土中の環境におけるメタノールの水準に関して利用できるデータが非常に少ない。とりわけ水のシステムにおけるメタノールの監視が明らかに不足していることは、(1)水の媒体におけるメタノール分析に伴う困難さの程度、(2)高いバイオ分解性により半減期が短い、および(3)地下水、地表水および飲料水に関する政府の監視規則や管理規則が欠如していることに起因する結果とみられている(水質清浄化法、および安全な飲料水に関する法律)。

3.1.1 土壌と地下水の中のメタノールの発生源

土壌や地下水へのメタノールの漏洩に直接的な責任がある、燃料としてのメタノールの使用に関係したいくつかのプロセスがある。主要な発生源はシナリオ1と3で述べられた、タンクローリーや鉄道車両からの漏洩、および地下メタノール貯蔵タンクからの漏洩である。沈殿もまた不飽和地帯を通じる浸入により、メタノールを土中に送り込む移動メカニズムとして作用する。しかしながらMTBEのような他の水性溶解度が高い化学物質にとっては、沈澱は土壌や地下水への汚染物質の移動の主要な原因とはみなされなかった(Zogorskiその他、1997年)。そしてこのために地下水へのメタノールの主要な分配源とは考えられていない。

3.1.2 土壌と地下水の中のメタノールの消滅

その高い溶解度、低い遅れ因子およびバイオ分解の容易さの結果として、土中や地下水からのメタノール消失の主要なメカニズムは、バイオ分解と移流(すなわち地下水の流れによる発生区域からの移動)と考えられている。

 

 

 

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