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Poulsenその他(1992年)はM85からのメタノールの水への溶解の量を調べた。Poulsenその他(1992年)はそれぞれ当初のガソリンの容量に等しい3つの容量の水に対して所要時間内に、ガソリンを通過してメタノールの約99%が水の中に浸出すると経験的に決定した。彼らはこれが短い分離したプルームに変化すると結論づけた。

漏出の後の土中へのメタノールの溶解の量は、メタノールとエタノールが類似した特性を持っているため、エタノールの溶解の量と同等である。HeermannnとPowers(1997年と1998年)はエタノール混合ガソリンからのエタノールとBTEX成分の分配活動を研究した。Heermann(1998年)によれば、エタノール混合ガソリンの溶解によるエタノールの水性濃度は、ガソリンの中のエタノールの濃度と土中システムの中の質量移転限度に依存している。Heermannはエタノールの濃度がガソリンの中で10%(容量)である時、エタノールの99%以上が水に分配されることを示した。Heermannは溶解に要する時間を計量していないが、それはより長い溶解のための時間1年超)を要するガソリンと地下水の境界へのエタノールの液体分子の拡散の量に制限されると結論づけた。

結論として、純粋メタノールは地下水に急速に溶解し、その地域の地下水の速度に直接対応した量で分散するであろう。M85ガソリンに含まれるメタノールのすべては地下水に漏出する可能性があるが、完全な溶解に要する時間は現場の特徴による。M85或いはM100の場合水と接触するメタノールの量が多いこと、水中におけるメタノールの無限の溶解度、また土壌と比較して水に対するメタノールの親和力が高いこと、以上によって拡散を制限することによる溶解への悪影響が減るという理由で、遅い溶解時間(1年超)を示すことは考えられない。しかしながら、溶解に要する時間は発生地域の形状と土中の土壌の種類に大きく依存している。このため、もしメタノールが地下水と最小限でしか接触せず透過性の低い地面に入った場合は、溶解はゆっくりと進むであろう。

 

2.5 混合/相互溶解の効果

 

相互溶解は、水に溶けたひとつの化学物質が第2の化学物質の水性溶解度を増加させるという化学現象である。たとえば、BTEX化合物は水だけの場合より濃度の高いメタノールの水溶液の中の方がより溶解度が高くなる傾向がある。この優先的溶解性は相互溶解性の効果として述べられる。既存の土中のBTEX汚染物質が遭遇する純粋メタノール・プルームによりBTEXの水性溶解度が高まる可能性は、既存のガソリン・ステーションにおける地下貯蔵タンクからのメタノールの漏出に関係してくる問題点である(シナリオ3) (Donbaldsonその他、1993年)。

メタノールの相互溶解の効果に関する研究の大半はM85のようなメタノール/ガソリン混合物に関連するBTEXの溶解性の増加に焦点を当てている。結論として土中へのM85の漏出は、プルームの先端におけるメタノールの水性濃度の高まりと同様にBTEXの水性濃度をも高める結果となることを示している。しかしながら、プルームの中におけるBTEXの分配は、水/ガソリン媒体の容積率の関数として変化するであろう(Poulsenその他、1992年;Chenその他、1997年;Beck、1991年)。1991年に米国石油協会(the American Petroleum Institute)は、M85のためのBTEX化合物の相互溶解性に関するメタノールの効果を調査した研究を公刊した。

 

 

 

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